2023年4月28日金曜日

糠漬けはカブから

                    
 早い季節の巡りに合わせて、糠漬けも4月に入ったら再開しようと思っていたが……。結局、いつもよりはちょっと早い4月下旬に糠床の冬眠を覚ました。

 年中、糠漬けを絶やさない家がある。それが普通かもしれない。が、わが家では、夏場は5月あたりから糠漬け、冬場は12月あたりから白菜漬けに切り替える。

 冬は毎日、糠床をかき回す代わりに、塩のふとんをかけて休ませる。理由は、とにかく糠床が冷たい、それに尽きる。

 糠床の眠りを覚ましたあと、最初に漬けるものは決まっている。カブだ。大根よりも早く漬かり、ほんのり甘みもあってやわらかい。いつの間にか体が覚えたルーティンではある。

 日曜日(4月23日)にスーパーへ買い物に行くと、突然、糠床に入れるカブが頭に浮かんだ。カートを動かすだけの人間でも、こんなときにはカミサンより早く買い物かごに欲しいものを入れる。

 糠床は生きている。乳酸菌と酵母菌のバランスを保つために、糠床をかきまぜる。これを怠ると腐敗が進む。

糠床の目を覚ました以上は、朝起きるとすぐ、糠床をかき回す。とはいっても、塩のふとんと古い糠味噌の一部をはぎとり、新しい小糠を投入したばかりなので、糠床は去年までの水気とまじってねっとりしている。

このため、カブの葉やキャベツの表皮などを「捨て漬け」にして水気を足し、糠床が味噌レベルのやわらかさになるのを待つ。煮物の残り汁なども加える。これをやっているうちに、小糠がこなれてきて味噌のやわらかさに近づく。

捨て漬けの大根に続いて、スーパーから買ってきたカブを漬けた=写真。今のところは「試食」用だ。捨て漬けだけでは、糠床の塩味がわからない。

冬眠中にかなりの塩分が糠床にしみ込んだ。これに新しい小糠を加えることで塩分を調整する。塩分の状態を知るには試食が一番だ。

朝、カブを入れて夕方に取り出す。あるいは、夕方に入れて朝、取り出す。この「半日漬け」でカブの漬かり具合と塩分を確かめ、小糠を、あるいは食塩を加えるかどうかを決める。

大根は、捨てようと思ったが、もったいない。一日たつとしんなりしていた。しんなりするのが少し早い気もする。食べるとやはり塩味が強めに移っていた。まだ小糠が足りないようだ。カブはほどほどに漬かったが、やはり塩味が強いようだ。

では、キュウリは? 試食を重ねたあとは「糠漬けの定番」キュウリに移る。カミサンの用事で街へ出かけた帰り、スーパーへ寄ってキュウリを買った。これも26日の夕方、試食用に漬けて翌朝取り出した。

取り出すとしんなりしている。塩味が強そうだ。包丁を入れてひとかけらを口にする。やはりそうだった。

ボウル1杯の小糠を加えて糠床をかきまぜた。味や風味がどうのという前に、塩分を調整しないことには始まらない。ここ何日かはそのための試食が続く。

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