早い春が過ぎて、山野はすでに初夏の装いに変わった。気温も上昇しつつある。とはいえ、朝晩は暦通りに冷え込むことがある。年寄りは体調管理が難しい。暑いからと言って、すぐ半そでには切り替えられない。
そうしたなかで、昼に冷やし中華そばが出てきた=写真。4月の冷やし中華は、たぶん初めてだ。
ありがたいことに、わが家では朝・昼・晩とカミサンが食事を用意してくれる。ある同級生は定年退職後、昼は奥さんの手をわずらわせないように、散歩に出て近くの公園でコンビニの弁当を食べる、と言っていた。
たまたま昼前、図書館などへ出かけたときには、「コンビニで食べ物を買って来て」と言われる。そういうときには、コンビニのサンドイッチとコーヒー牛乳で昼食をすませる。
かつ丼やラーメンライスが普通だった若いときに比べると、量的には半分になった。出てきた冷やし中華そばも、年寄りの食欲からいうと「大盛り」だ。
盛り付けされた中央にマヨネーズがグルグル巻きになっている。「紅ショウガは?」「要らない」。マヨネーズをかける前に声がかかった。カミサンの冷やし中華にはマヨネーズの下に紅ショウガがかたまって載っていた。
マヨネーズがないと冷やし中華ではない――。いわき市民なら、たぶん「そうだ」と言ってもらえる。マヨネーズと冷やし中華そばの関係を書いた、11年前の拙ブログがある。それを要約・再掲する。
――昼食は冷やし中華だという(わが家の話です)。マヨネーズが用意されてある。いわきの人間にとっては、冷やし中華にマヨをかける、というのは当たり前のこと。カミサンが皿に麺を盛り、キュウリその他をトッピングした。そこへマヨを円を描くようにかけた。
しばらく前、郡山に本社がある近場のラーメン店へ行って冷やし中華を注文した。お昼どきで、客が次から次に入ってくる。テーブルに届いた冷やし中華を見て思わずうなった。「マヨが付いてない。郡山流か、ここは」
しかたがない、食べたが舌と気持ちがぼそぼそしていけない。麺がするっとのどの奥に入っていかない。いわきの人間には、マヨをからめない冷やし中華は冷やし中華ではないのだ。マヨを添えるいわきバージョンをつくってほしいよ、まったく。食べながらそう思った。
日曜日の昼、わが家の近所の中華料理店で冷やし中華を食べた。マヨが添えられていた。地元の店だから当然だ。マヨがあることで落ち着いて食べられた。
食文化は一律ではない。土地によって異なる。チェーン展開には単一の味が効率的かもしれないが、メニューによってはそれになじまない人・地域もある。「マヨがない」とぶつぶつ言いながら、冷やし中華を食べたくない――。
ラーメンのチェーン店は、今はどうなのだろう。やはり、昔のままマヨネーズなしなのだろうか。
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