きのう(6月8日)の続き、のようなもの――。NHKの「解体キングダム」(5月31日)は、東京・浜松町の世界貿易センタービルだった。
高層ビルの建設には「とび職」が欠かせない。タワークレーンが吊り上げた鉄骨を組み立てるのは、命綱一本で高所を動き回るとび職だ。
建設に携わった父親に代わって、今度は仕事を継いだ息子が解体を支える――。そんなドラマも絡めながらのテレビ番組だった。
いわき駅前にも最近、タワークレーンが2基、お目見えした=写真。駅西側で「並木通り地区第一種市街地再開発事業」が進められている。21階建ての住宅棟が計画されている。いよいよこれから鉄骨が組み上がっていくのだろう。
元はいわき民報ビルが建っていた。昭和45(1970年)2月下旬の深夜、いわき民報社とレストラン・ブラジルの入った木造2階建ての社屋が、隣家の火事で類焼する。
一方ですぐ、地上5階・地下1階の新社屋ビル建設計画が発表される。わずか1年余りあとの同46年5月、臨時社屋から新しいビルに移転した。階上には結婚式場「ことぶき会館」もできた。
私は移転1カ月前にいわき民報社に入った。臨時社屋から新社屋へ移ったあとも、先輩記者のお茶くみと鉛筆削りをしながら、記者見習いを続けた。それから40年近く、そこが仕事場になった。
再開発事業が決まり、ビルが解体されるのを、駅前のラトブ4階から眺めては、自分の体の骨が、筋肉が悲鳴をあげるような錯覚に襲われた。
そして今は、鉄骨を組み立てるためのタワークレーンが陣取る。「解体キングダム」のタワークレーンを見て、建設中の超高層ビルで「学生アルバイト」をしたときのことを思い出した。
レッカー車の助手をしたこともある。資材の積み下ろしのために、身振り手振りを交えながら、「ゴーヘー」「スラ―」などと声を出した。「解体キングダム」のタワークレーンでも掛け声は同じだった。
東京スカイツリーを特集したテレビ番組で、タワークレーンを紹介するコーナーがあった。そのなかで初めて「ゴーヘー」と「スラー」の語源を知った。
「ゴーヘー」は「go ahead(ゴー・アヘッド=進む)」からきているという。意味は「巻き上げる」。「スラー」は「slacken(スラッケン=緩める)」で、「巻き下げる」ときに使う。
「ちょいスラー」は「ゆっくり巻き下げる」。そういえば、腕でも「上げる」(手のひらを上にして上に振る)、「下げる」(手の甲を上にして下に振る)をやった記憶がある。
さらに検索したら、船舶用語(ゴーヘー=前進)がクレーンの合図用語に転化したらしいことがわかった。
漁業のまち・気仙沼市には震災からの創造的復興をめざす組織として「ゴーヘイ!気仙沼の会」がある。前に進め!気仙沼。同じように、「ゴーヘー!いわき」があってもいいわけだ――と、これは前に書いた拙ブログからの引用。
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