BS日テレで月~金曜日の午後、「新・オスマン帝国外伝――影の女帝キョセム」が放送されている。
前に皇帝スレイマン1世の寵姫(ちょうき)、ヒュッレムを主人公にした「オスマン帝国外伝――愛と欲望のハレム」が放送された。いわば、その続編だ。ヒュッレムからキョセムへ、である。
前作のときもそうだったが、今回も初めのうちは、カミサンがそばで見ていても気にならなかった。これといった事件があるわけではなかったからだ。
それが、最近は目のへりにちらつき、耳に入ってくる。6月第3週は、キョセムが「影の女帝」としての覚悟を決めるような修羅場が展開された。思わずパソコンにふたをして見入るようになった。
キョセムは、もとはギリシャの島から献上された奴隷の1人に過ぎなかった。皇帝アフメト1世が彼女を寵愛し、やがて子どもが生まれる。
それからドラマが激しく展開する。番組宣伝に従えば、キョセムは暗殺や裏切り、愛する者との別れを乗り越えて、権謀術数の渦巻く後宮から帝国を動かす影の女帝になっていく――。
キョセムを寵愛する皇帝が祖母の太皇太后サフィエの策略によって遠征中に暗殺されそうになる。そのもくろみはすんでのところで失敗する。キョセム側も逆襲に転じる。
6月第4週に入っても、一進一退の“攻防”が続く。なんという陰謀と策略。しかも、それぞれが侍女や宦官、宰相を巻き込んでうごめく。この「愛と欲望のハレム」の「活劇」が視聴者を引き付けるのだろう。
ヒュッレムのときには、オスマン帝国を舞台にした初めてのドラマなので、少し勉強した。それでこんなことを書いた。
――テレビでは、16世紀、オスマン帝国の黄金時代を築いた皇帝スレイマンと、元キリスト教徒の奴隷身分から皇帝の寵姫となり、やがて正式な后(きさき)となったヒュッレムを軸に、骨肉の後継争いと愛憎劇が展開される。
前のシリーズが放送されたとき、カミサンが買って読んでいた小笠原弘幸『オスマン帝国英傑列伝』(幻冬舎新書、2020年)を手元に置いている。話がこんがらかると、ときどき開く。むろんドラマはフィクションだから、史実とは異なる。
『オスマン帝国英傑列伝』では、ヒュッレムに1章を割いている。「美貌より快活さを魅力とした魔性の女」「スレイマン、イブラヒムとの緊張の三角関係」「西太后やマリー・アントワネットとならぶ悪女に描かれた理由」といった見出しが並ぶ――。
新書には「キョセム」の章もある=写真。キョセムはのちに6歳の孫が即位しても後見人としてトプカプ宮殿にとどまり、権勢を振るい続ける。ところがやがて、敵対するグループによって。暗殺される。「ハレムで殺害された唯一の母后」だという。ヒュッレム以上に政治にかかわったようだ。
ただし、ドラマとしてはヒュッレムの物語よりエンタメ性が強い。「活劇」が過ぎる。そのへんを割り引いて見るようにはしている。
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