2023年6月17日土曜日

おやっ、向こうへ移ったか

                      
 家の庭に出ると、台所の軒下にいるコガネグモをチェックする。毎日対面しているので、チェックというよりは「あいさつ」に近い気分になる。朝ならむろん、「おはよう」と胸の中で呼びかける。

 6月初旬に、手も足も投げ出してダラッとしていたときにはびっくりした。襲撃されて毒が回ったかと一瞬思ったが、脱皮した直後だった。それから1週間ちょっとたつと、急に大きくなった印象を受けた=写真。

それだけではない。今までと違うことが二つあった。一つは、クモの巣の中央にある「X」の隠れ帯。1カ所が消えていたり、小さかったりしていたのが、大きくはっきりした。

 もう一つは、今まで背中を見せていたのが、腹を見せるようになったことだ。つまり、クモの巣の向こう側に移ったのだ。

 脱皮を機に、子どもから大人に変わりつつあるということだろうか。小さいうちはクモの巣の外側(単に台所を基準にして庭の側)にいても、あまり目立たなかった。巣にかかる虫も小さかった。

 ところが、クモの巣そのものが複雑になってきた。最近は、「X」字が中心まで白く太く大きくなって、向こう側のクモの姿が見えなくなった。

 虫からすると、安心してそばの花に近づける。と思った瞬間、網に引っかかってクモに捕まる。

 「X」の効用がネットに出ていた。コガネグモの巣の網自体は紫外線をほとんど反射しない。ところが、白い帯の「X」は紫外線を反射する。

 昆虫は人間と違って紫外線を見ることができる。コガネグモの巣の「X」は、昆虫の目には「花」のように映るのだとか。クモが反対側に回って、白い帯を強調するのも偽花作戦の一環ということか。

 ところが、クモ自体も紫外線を反射することができるから、白い帯の真ん中にいて背中を見せてもいいはずだが、反対側に回った。これはどういうことだろう。鳥に捕食されるのを避けるためか?

 ただ、なんとなく気になることがある。その巣の中心が地上70センチほどでしかない。今までの経験からいうと、人間の顔から上あたりにクモがいたように記憶する。ま、とにかく毎日対面していれば、変化がわかるはずだ。

 その延長でふと思ったのだが、隠れ帯は「X」ではなく、「Y」でもいいのではないか。そんなことを「コガネちゃん」に尋ねても答えてはくれまいが。

クモの巣の網は放射状にのびる。単純に「Y」より「X」がつくりやすい、それだけかもしれない。それに、8本の足を2本ずつそろえて「X」に合わせると、外から見えなくなる。いずれにしても、台所のコガネグモはいちだんとたくましくなった、それだけはいえる。

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