街からの帰りに夏井川の堤防を利用する。平神(へいしん)橋を渡ってすぐ右折し、弘源寺の東麓でさらに右折すると、左岸の堤防そのものに出る。
河口までは7~8キロだろうか。しばらく行くと、右岸に新川(しんかわ)が見えてくる=写真上。この合流部に10月から翌年3月まで、冬鳥のハクチョウが飛来する。
ハクチョウが北へ帰った今は、右岸で行われている水害対策工事を眺めるのがリバーウオッチングの主な目的になった。
夏井川自体、河口に近いとはいえ、“大河”の風情はない。田んぼに水を取られている今は、なおさら水量が少ない。新川もそうした川の支流だから、土砂が堆積して草が茂っている。
この合流部付近で特定外来生物のカミツキガメが捕獲されたという。新聞記事を読んで仰天した。いや、それ以上に捕獲した人間が持ち上げるカミツキガメの大きさに驚いた。
夕刊のいわき民報によると、捕獲されたのは6月4日夜で、体長は約70センチ、体重は7~8キロの雄だった。
「市内では幼体を含め複数の目撃例がある。捕食対象となる魚類や両生類など生態系への影響や、陸上で人がかまれる被害などが懸念され」ている、ともあった。
もともとは北米~中米が原産地だ。ペット用に大量に流通したものの、飼育に飽きたり、大きくなってもて余したりして、川や池に捨てる行為が後を絶たないらしい。
翌日のいわき民報にも驚いた。今度は好間川での珍事だ。同川の河川敷でバナナの仲間の「チユウキンレン(地湧金蓮)が開花したという=写真下。
もともとは中国雲南省が原産地で、平成2(1990)年の大阪・花の万博にも展示された珍花なのだとか。
大きな花びらのように開いているのは「苞」で、これは直径30センチほどになる。この苞の付け根に現れる粒々が花。花は300日にわたって次々に咲き続けるそうだ。
本流の夏井川だけでなく、支流の新川、好間川でも水害防止のための工事が進められている。新川の一部が浚渫(しゅんせつ)によって川幅が拡張されたあと、ミズアオイの小群落が出現した。泥の中に眠っていた種が環境(川底)の変化で目覚めたらしい。
チユウキンレンは自生しない。記事に出てくる園芸の専門家は「種か株が偶然、流れ着くなどして根付いたのでは」と推測する。
経済だけではない、趣味の世界でも国際化が進んでいる。それがその人の手のひらの中でころがっている分にはいいが、ときに逃げられた、持て余して捨てた、となって、他人を巻き込んだ騒ぎに発展する。リバーウオッチングも、想定外の風景が増えつつあるようだ。
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