朝、歯を磨きながら庭を一巡する。ヤブガラシはまだまだ芽を出している。それを見つけ次第、摘む。
マサキにとりつくミノウスバの幼虫は、たぶんもういない。卵から孵って、かたまっているうちに新芽ごと除去した。それが効いたようだ。
フランスギクは花茎を伸ばし、つぼみをつけ始めたのを、根ごと引っこ抜いた。シンテッポウユリも生け垣の根元などに生えてくるのを摘んだ。
フランスギクは侵略的外来種、シンテッポウユリも厄介な植物だ。奄美地方では希少種のウケユリを守るために、シンテッポウユリを「外来種駆除対象種」にしている。環境省の「生態系被害防止外来種リスト」でも、「その他の総合対策外来種」に指定されている。
芽をむしる、仔を撃つ――だけが、庭を巡る理由ではない。台所の軒下に、カミサンが園芸種の花を植えた。
その花を目当てに現れる虫を狩ろうと、コガネグモの子(雌)が網を張った。網の中心には「X」形の白い隠れ帯があり、コガネグモはそれに合わせて足をのばしている。これを毎日観察する。
クモの子に気づいたのは、4月末~5月初めの大型連休のころ。そのときのブログを要約して再掲する。
――クモの子は花の近く、鉢物の支柱を利用して地上70センチほどのところに網を張った。生まれたときからそこにいたわけではない。晩秋、どこか遠いところから空を旅してやって来たのだ。
秋に孵化した子グモたちは集団で過ごしたあと、尻から糸を流し、それが風に乗ると空に舞い上がる。これを「バル―ニング」というそうだ。
大きくなったコガネグモを何度か庭で観察している。そのときの様子がよみがえる。網の真ん中で、体を下向きにして、じっと獲物の昆虫が網にかかるのを待つ。
獲物がかかるとすぐ走りより、かみつき、糸でぐるぐる巻きにして動けなくする。それを網の真ん中まで運んでから食べる――。
それからほぼ1カ月。5月29日の夕方、息抜きに庭へ出てクモの子を見ると、あれっ、どうした! 空中にぶらさがって、足をダラッと投げ出しているではないか=写真。
X字の隠れ帯の近くには、茶色っぽい「別のクモ」がいる。それにかまれて、毒を注入されたか?
クモの子は、クモの巣とは尻から出した糸一本でつながっている。風が吹いているわけではないが、クルクル回ったかと思うと、また元に戻る。そのうち、足を折りたたんで動かなくなった。
翌朝、新聞を取り込むついでにクモの子を見ると、なんといつものように足をX字に広げて逆さになっているではないか。
脱皮か。ネットで検索すると、脱皮中のコガネグモの動画がアップされていた。目撃したのとまったく同じ動きをしていた。「別のクモ」、つまり抜け殻は跡形もなかった。
家の庭という小さな自然ながら、そこに展開されている生きものたちの営みには、いつも引きつけられる。厳粛で不思議な気持ちになる。今回もそうだった。
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