2019年8月13日火曜日

道端の小さな花

 人はルーティン(決まった手順)の服を着て暮らしている。私の一日、一週間、十日のサイクルでいうと――。
 一日は、朝起きて玄関を開け、新聞を取り込むことから始まる。毎日がその繰り返し。一週間は、月曜日早朝、家の前の集積所にごみネットを出すことから始まる。日曜日の夜には、そのことを忘れないように、自分に言い聞かせて眠る。1、10、20日には、役所から届く行政資料を振り分け、区の役員さん宅に届けないといけない。日曜日に夏井川渓谷の隠居へ行くのも、ルーティンの一つだ。

 すると、一日単位、一週間単位、十日単位での変化がわかる。おととい(8月11日)、渓谷の隠居の庭にゲンノショウコの花が咲いていた=写真上。一週間前には気がつかなかった。花の直径はせいぜい1センチ強。白い花びらに薄紫色の筋が入っている。咲き始めの清楚な色合いが目を楽しませてくれる。

 きのうの月曜日は早朝6時前、ごみネットを出すと、車道の縁石のへりにピンクの小さな花(こちらも直径1センチ強)が咲いているのが目に留まった=写真下。歩道側、アスファルトの切れ目にも同じ花が咲いていた。こちらも一週間前には気がつかなかった。
 車道側の縁石には砂が少し溜まっているだけだ。植物にとっては苛酷な環境だ。大きく育つ草は、とてもじゃないが根を張れない。水分だって十分取れない。そんなところに、丈の低く小さな草が根づいた。

 ゲンノショウコは在来種で、昔から知っている。こちらの赤い花は、初めて見た。帰化植物だろう。

「夏 赤い花」で検索すると、それらしい花の写真に出合った。「ユーゲショウ(夕化粧)」という名が付いていた。さらに検索を続ける。国立環境研究所の「侵入生物データベース」などで概略がわかった。北米南部~南米原産で、明治時代に移入した。市街地・路傍・堤防などに生息し、昼から夜にかけて開花する、とある。前夜、開花したのを見たのだろうか。

侵入生物データベースの地図は、関東以西が赤く染まっている。東北は無印だが、いわきではすでに生息している。「侵入マップ」が北へと赤くなりつつある? 「かわいい花だね」と、喜んでばかりはいられない。

それはさておき、けさは玄関を開けて新聞を取ろうとしたら、休刊日だった。きのう、それを告げる折り込みチラシが入っていたのだが……。ついでに、道路のユウゲショウを見ると、花の本数が増えていた。

きょうは月遅れの盆の入りでもある。暮らしのルーティンでいうと、一年単位の「新盆回り」が待っている。じゃんがら念仏踊りの鉦(かね)の音も聞こえてくる。

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