2019年8月12日月曜日

「山里巡りの日」

 きのう(8月11日)は日曜日と国民の祝日「山の日」が重なった。きょうの振替休日を含めて、10日から月遅れ盆の休みに入った人も多いだろう。
 日曜日は夏井川渓谷の隠居で土いじりをする。山の日だからいうわけではないが、「山と渓谷」、つまり山と対比される渓谷というよりは、「山の渓谷」、山の中にある渓谷だ。週末だけその小集落の半住民になる。

きのうは、連日の猛暑から一転、曇り空だった。蒸し暑さは残るものの、直射日光がない分、土いじりがはかどった。昼前には作業が終了した。昼食の用意はしていない。平の街へ戻ってどこかの店に入るか、上流の田村郡小野町、あるいは渓谷の山の陰、三和町まで行くか――。

 前々からカミサンの行きたかった店が小野町にある。川前町のガス屋さんに隠居のプロパンガス代を払ったあと、小野町まで車をとばし、まちなかのイタリア料理店=写真上=に入った。あとで町役場のホームページで確かめたが、Uターンの若いオーナーシェフが経営している。父親がつくってくれた薪(まき)用の窯でピザ(ピッツァ)を焼くそうだ。

店の名前は「チルコロ・イル・ピッコロカンポ」。チルコロは輪とかクラブ、集まる場の意味、ピッコロカンポは小さな野原、つまり小野、だとか。

何を食べたらいいかわからない。メニューを見て「きのこのピッツァ」を頼んだら、品切れだという。おすすめは? マルゲリータというので、私はそれを、カミサンはパスタを頼んだ。マルゲリータはトマトとチーズを使った定番ピザらしい。

先客は2組。いずれも小さな子のいる若い家族連れだ。幼児が遊べるスペースがある。おもちゃや絵本もそろっている。本棚には絵本だけでなく、料理関係の本もずらりと並んでいる。

農文協の『世界の食文化 14 スペイン』『同 15 イタリア』があった。秋に<キノコの文化誌>というタイトルで3回、公民館で話すことになっている。レジュメはまだ6割くらいしかできていない。レジュメをつくる過程で、『世界の食文化』シリーズは読んだ。懐かしいといえば懐かしい本だ。

『イタリアの地方料理』(柴田書店、2011年)=写真下=にはシェフの向上心が感じられた。いわきの図書館にはない。巻末の索引でキノコ関係の料理名をメモする。
 ポルチーニ(ヤマドリタケ)=ポルチーニキノコのパイ包み/リゾット・アッラ・ピロータ/カネーデルリ・イン・ブロード/ボローニャのラグーのタリアテッレ。黒トリュフ=タリアテッレのマッシュルームのラグー 黒トリュフ風味/ペーザロ風ペンネのオーブン焼き/ウズラの香草揚げ黒トリュフの焼きリゾットワインソース。白トリュフ=チーズフォンデュのリゾットアルバ産白トリュフかけ。

 まず、すべての料理がちんぷんかんぷんだ。書き写しの間違いがあるかもしれない。一つひとつネットで調べ、料理のイメージをつかまないと――。そんなことを考えながら、マルゲリータを食べた。

 店を出たら、あとは決まっている。年に1、2回、小野町の直売所を訪ね、近くのあぶくま高原道路を利用して平田村の道の駅へ行き、国道49号経由で三和町のふれあい市場へ寄って帰る。今回も同じルートで阿武隈の直売所を巡った。

国民の祝日「山の日」は、「山に親しむ機会を得て、山の恩に感謝する日」だそうだ。山へ登る代わりに、山里の直売所を巡って大地の恵みに感謝する「山里巡りの日」になった。

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