散歩していたころは毎日、夏井川と対面した。今は平の街へ行くときか帰りに、堤防を利用して夏井川と向き合う。春、ウグイスがさえずり、ツバメが南から渡って来る。夏、堤防の草が生い茂る。秋、ハクチョウが北からやって来る。冬、水鳥の数が増える。夏井川の“定線観測”をしていると、季節の移り変わりがよくわかる。
住民と夏井川とのかかわりも、行政区の役員を引き受けてから見えるようになった。早春の夏井川の堤防と河川敷の野焼き、そして定期的な草刈りを、近隣の行政区が河川管理者から委託されて実施している。
野焼きには、対岸・下流の住民から苦情が寄せられることもある。今年(2019年)はそれで、わが区の隣の区では野焼きを中止した。枯れて脱色したヨシ原が広がったままのところへ、新しいヨシが生え、育ち、今では丈がそろって、緑色の髪に黄土色のメッシュが入ったようだ。
1週間前の日曜日(8月18日)、その区より上流の行政区で堤防の草刈りが行われた。
早朝5時過ぎ、夏井川渓谷の隠居へキュウリを採りに行った。平の街へ戻り、夏井川の堤防へ出ると、人がいっぱいいた=写真上。旧知の前々区長さんがいる。前区長さんもいる。現区長さんもどこかにいるはずだ。それぞれが草刈り機か鎌を持っている。月遅れ盆が明けて最初の日曜日、朝7時。人がひしめく間をそろりそろりと車を進めた。
翌日午後、街へ行った帰り、また堤防を通った。草が刈られてきれいになっていた=写真下。草刈りを請け負った場所はここまで――そうとはっきりわかるところがある。隣区との境がそこなのだと知る。隣区もいつか草刈りをやるのだろう。
わが区は隣区から分離・独立した。300世帯強が加入しているが、農家はゼロ。草刈り機を持っている人は何人いるだろう。
一斉清掃や球技大会、体育祭など、どの区にも共通する行事はある。しかし、川が流れ、田畑があって農業用水路が張り巡らされている区と、サラリーマンが主体の区とでは、自然とのかかわり方がまるで違う。わが区にはみんなが出て草を刈らねばならないようなあぜ道も、堤防も、川もない。それぞれの区にはそれぞれの事情・課題がある。結局、住んでいる区が一番――という思いになった。
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