2020年5月20日水曜日

キジとゴジラと緊急地震速報


 きのう(5月19日)の午後1時13分――。遅い昼食のあと、BSプレミアムを見ていたら、画面に突然、「緊急地震速報」の字幕が表示された。同時に、「ピャラン、ピャラン」というチャイム音が鳴り始めた。スマホは沈黙している。字幕に表示された地図は中部地方。ほどなく文字が表示されて、長野県中部との県境に近い岐阜県・飛騨地方が震源とわかった。最大震度は高山市の4だった。
 その1時間前の午後零時17分――。いきなりドドッときた。スマホは鳴らなかった。震源は福島県沖。浜通り北部は震度4、南部のいわきは3だった。

 ガラケーからスマホに切り替えて3カ月弱。ざっと10日前の5月11日午前8時58分、突然、スマホが「ピャラン、ピャラン」と鳴り出し、「緊急地震速報」の文字と絵が表示された=写真。

スマホでは初体験だったので、チャイム音に驚いて身構えた。画面の文字を読む余裕はなかった。写真に撮ったのを確かめたら、「茨城県で地震発生。強い揺れに備えて下さい(気象庁)」とあった。揺れることは揺れたが、身構えていたほどではなかった。茨城でも最大震度は3だった。

結婚したばかりのころ、戸建て・庭付きの古い市営住宅に住んでいた。隣家でキジを飼っていた。地震が来る直前、キジは決まって「ケンケン」と鳴く。その繰り返しから、「突然、キジが鳴けば地震!」と身構えるようになった。

なぜ直前にキジが地震を察知するのか。地震が起きると、大きな揺れ(S波=横波)に先行して小さな揺れ(P波=縦波)が来る。キジは人間と違って、この初期微動(P波)を感知する能力が優れている、ということなのだろう。その意味では、緊急地震速報はキジの「ケンケン」と変わらない。ちなみに、Sはセカンダリー(2番目の)、Pはプライマリー(最初の)の略だそうだ。

チャイム音もどう表現したらいいか迷う。一般に「チャラン、チャラン」と表記される。しかし、私には「チャ」というやさしい音ではなく、「キャ」あるいは「ピャ」と鋭い音になって耳に飛び込んでくる。鳥でいうと、スズメではなくてヒヨドリ。

――NHKによる緊急地震速報の解説、一般のネット情報で知ったが、あの独特のチャイム音は伊福部達(とおる)東京大学名誉教授が作成した。音響学と電子工学、医療工学の境界分野で活躍してきた人で、「身の回りですでに使われている効果音やアラーム音などに似ておらず、聴覚に障がいのある人や高齢者などにも聞こえやすい音」を選んだ。

 ゴジラ音楽の伊福部昭は叔父さんだという。子どものころに見た最初のゴジラ映画の「ジャジャジャン、ジャジャジャン、ジャジャジャジャジャジャジャン」がおどろおどろしかった。不安と恐怖をかきたてられた。

叔父さんの作曲した交響曲「シンフォニア・タプカーラ」の第3楽章冒頭のメロディーを援用した、ということだった。こちらもゴジラの「ジャジャジャン」を連想させるような音だ――。この部分は前に書いたブログの抜粋)

実際の音選びでは、ゴジラのテーマソングは避けたという。ゴジラ映画から喚起される不安・恐怖を避けるためだ。が、「ピャラン、ピャラン」も東日本大震災以来、不安・恐怖を増幅する音になった。スマホで初めて聞いてゾッとしたのも、その後、テレビで放送された「緊急地震速報」体験と関係しているようだ。

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