2020年5月5日火曜日

巣づくり・巣ごもり・ダンシャリ

 夏井川渓谷の隠居の庭で、黒く小さなアリがせわしなく穴を出入りしていた。穴から現れるアリは砂利をくわえている=写真。体長は5ミリ前後。クロヤマアリだろうか。
アリは、体より何倍も重いモノをくわえて歩けるそうだ。確かに、ときどきは自分の頭より大きい砂利を、フォークリフトよろしく持ち上げて動いている。巣づくりの最中らしかった。

 アリ界は巣づくりに忙しい。一方で、人間界はコロナ禍による「巣ごもり」を強いられている。日本では折から、ゴールデンウイークの真っただ中だ。緊急事態宣言が出され、いわきでは、学校は今度の日曜日(5月10日)まで、図書館などは大型連休の終わるあした(5月6日)まで、休校・休館になっている。きのう、さらに5月末までの期間延長が決まった(地方の図書館は再開されるのではないか、そう期待しているのだが……)。

 大型連休にはダンシャリが進む。例年、5月初旬には一般ごみや粗大ごみの自己搬入が増えて、清掃センターなどが混雑する。今年(2020年)は特に、巣ごもり~ダンシャリ・庭木の手入れによる大規模な混雑が予想されことから、市は5月2~11日ごろまで、処理場への自己搬入の自粛を呼びかけた。

 思い当たることが二つある。一つはきのうの月曜日。私の住む地区は「燃やすごみ」の収集日だった。多くの集積所にいつもの2~3倍のごみが出ていた。生け垣の剪定枝や短く切った幹が山になっているところもあった。通常だと、収集車がわが家の前の集積所にやって来るのは午前10時半ごろ。それがきのうは午後1時ごろにずれ込んだ。

 もう一つは、夏井川渓谷の県道沿いの不法投棄だ。4月最後の日曜日、平地から山へ入り、坂を上りきったカーブにソファその他の粗大ごみが捨てられていた。1週間後のおとといは、それが消えていた。代わりに、不法投棄を戒める看板が立っていた。警察が乗り出してもいいくらいの量の多さ、悪質さだった。行政としても放置できなかったのだろう。

 さて、巣ごもりとは別に、「寒い4月」からいきなり「暑い5月」に切り替わった。こたつを座卓代わりにしている。座いすの左側には本と資料、右側にはプリンター。日光を背に、塹壕(ざんごう)化した茶の間の一角で在宅ワークをやっていると、夏は熱気で逃げ出したくなる。それが始まった。

こたつを夏の装いに――と、5月の声とともに、カミサンから迫られている。しかし、電気マットを片づけるには、山積みになった資料をよけないといけない。その整理にはけっこう時間がかかる。つい「きょうはいい」となる。このままでは足が蒸れる。それはわかっているのだが……。

働きアリのなかには怠ける者も一定数いるそうだ。資料整理の話が振られると、ついそちらのアリに親近感を抱いてしまう。

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