2020年5月7日木曜日

続・春の野の味

 大型連休最後のきのう(5月6日)は、夏の暑さから一転、春の寒さに戻った。「立夏」(今年=2020年は子どもの日)になったとたん、これだからまだ石油ストーブを片づけられない。晩酌の焼酎も、水割りからお湯割りに戻した。
 大型連休には木の芽が吹き、草たちが萌(も)え出す。春の野の幸が食卓に並ぶときでもある。コロナ禍で外出自粛が続いているとはいえ、今年もちょっぴり季節の食べものを口にした。

 大型連休の前から夏井川渓谷の隠居の庭にアミガサタケが発生した。4月下旬に4回チェックし、計10本を採って炒め物にした。菜園のネギ苗には花芽が、辛み大根にはつぼみができた。それらを摘んで、花芽は汁物その他に、つぼみはさんしょう味噌にからめて食べた。つぼみの味噌あえはよかった。舌先がほのかにヒリヒリするさわやかな味だった。

 山菜の種類も増えた。カミサンが隠居の庭で草むしりをしながら、ノノヒョロ(ノビル)とミツバを採った。コゴミ(クサソテツ)は、隠居の周辺を散歩中にほんの少し摘んだ。タケノコはいつものようにお福分けにあずかった。ノノヒョロは生で味噌をつけて=写真、コゴミはおひたし、タケノコは煮物にして食べた。ミツバは卵とじになった。

 ノノヒョロはネギの仲間だ。生で食べると体がほてってくる。それだけで免疫力が上がったような気になる。いつもの魚屋さんからは、スズキの粗をもらった。タマネギとノノヒョロの葉を刻んで粗汁に加えた。さっぱりして上品な味が初夏の訪れを告げているようだった。

縁がなくなったのはタラの芽。震災前の2009年、地元の人から苗木10本をもらって、隠居の庭の隅に植えた。長さ30センチほどの“鉛筆”が何年かたつと生長し、いくら背伸びをしても手が届かなくなった。と思っていたら、侵入者がいて、先端を折って、タラの芽を摘んでいった。今は摘まれ、折られ、切られて、全滅した。

だれもいないとみると、自分の欲望をコントロールできない人間がいる。このごろいわれる「自粛警察」も、正義の暴走を止められない点では、タラの芽ドロと同じだろう。

 それはさておき、わが家の庭ではやっとミョウガタケが姿を現した。2~3日たったら、刻んで豆腐汁にちらす。カブやキュウリの一夜漬けにも、風味用にみじんにして加える。サンショウの木の芽も同じようにして散らす。春の野の味を締めるのは、これ――。

0 件のコメント: