2020年5月21日木曜日

ドラマ「路~台湾エクスプレス~」

 土曜日(5月16日)の夜、NHKの「路(ルウ)~台湾エクスプレス~」を見た。台湾新幹線建設事業に恋をからめた全3回のドラマだ。原作は、台湾に魅せられた作家吉田修一の小説『路(ルウ)』。
 2009年9月、学生時代の仲間と還暦を記念して海外修学旅行を始めた。2年目の2010年秋は、台湾高鐵(新幹線)に乗って南の高雄(カオション)へ行き、港から南シナ海に沈む夕日を見よう、ということになった。

 台北(タイペイ)に着いた翌朝、台風が襲来した。日本でいえば台風11号、アジア名は凡那比(ファナビ)」。テレビは凡那比」の特番に替わった。新幹線は動かない。予定を変更して、台北市内の温泉につかり、烏来(ウーライ)・野柳(イェーリュウ)・九份(チゥフェン)と観光名所を巡った。

 それから半年後に東日本大震災が起きた。台湾から200億円以上の義援金が寄せられた。台湾高鐵への思いと「謝謝!台湾」の気持ちが募って、2015年2月、旧正月前の台湾を再訪した。高雄で南シナ海を見るという念願がかなった。

 このときもいろいろあった。台北市内の松山(ソンシャン)空港を離陸したばかりの小型旅客機が近くの川に墜落した直後だった。東京はさらに雪の予報。いわき組は夕方のスーパーひたちで出かけ、羽田空港近くのホテルに前泊した。さいわい飛行機は遅れることも、運休することもなかった。

高雄へ向かう途中、台中(タイツォン)駅で下りて日月潭(リーユエタン)を巡った。標高748メートルの湖の直下に水力発電所がある。そこからの送電線だろう、バスから鉄塔が見えた。

鉄塔を見た瞬間、渡辺村(現いわき市渡辺町)出身の医学者高木友枝(1858~1943年)を思い出した。高木は、台湾では「医学衛生の父」と呼ばれる。

 高木はペスト菌を発見した北里柴三郎の一番弟子で、師の指示で日本が統治していた台湾に渡り、伝染病の調査や防疫などの公衆衛生事業に尽くした。総督府医院長兼医学校長、総督府研究所長などのほかに、みずから社長になって台湾電力を創設した。台湾電力会社が最初に手がけたのは、日月潭を利用した水力発電だった。
 
 台中駅で初めて高鐵の先頭車両を見た=写真。白い顔にオレンジ色のくちばしが印象的だった。

 土曜ドラマを見ながら、「台湾の誇り」高鐵の淵源には高木の電気事業がある――そんなことも考えたりした。NHKと台湾のPTS(公共電視台)の共同制作だという。2回目は今度の土曜日(5月23日)に放送される。

 いわきの図書館は本の貸し借りに限って、きょう(5月21日)午前10時、再開される。原作の『路』は、総合図書館では「貸出中」だ。四倉図書館にもあるから、買い物ついでにそちらで借りるか。


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