2020年5月24日日曜日

たまには海を見たい

夏井川河口を起点にすると、太平洋からわが家までは直線でおよそ4キロ。いわき市四倉町の沿岸にある道の駅よつくら港で買い物をしてから四倉図書館へ寄り、海岸道路(県道豊間四倉線)~夏井川河口~堤防を経由して帰った。
行きは旧国道を北上した。そんなときには、国道6号を南下して帰る。その逆もある。しかし、ステイホーム(巣ごもり)が続いたために、気分転換を兼ねて海岸道路へハンドルを切った。車を運転しながら、前方視界に入ってくる海を見て、河口を見て、遠く西から北に連なる阿武隈の山並みを見た。大きく開けた風景のなかに身を置くだけで、なにか救われたような気持ちになる。

どんよりした日が続いている。海もどんよりした色だ。つまらない海もある、と思いながら、河口近くで海岸道路と接続する市道に折れ、夏井川と支流・仁井田川を結ぶ横川の橋を渡り、夏井川の堤防に上がると、そばの空き地に道路ができていた=写真。県道と市道が交差する角に、水門をつくっている旨の看板が立っていた。いよいよ始まったか――。

県議会でのいわき選出議員の質問によると、平成18(2006)年秋、台風と風浪によって仁井田川の河口が開口し、夏井川の河口が閉塞(へいそく)した。同23(2011)年3月、東日本大震災による地盤沈下と津波の影響を受けて、夏井川河口の閉塞と横川への逆流が常態化した。

さらに、その影響もあってか、平成28(2016)年夏の豪雨では、横川の水位が上昇し、流域に避難勧告が出された。

夏井川水系では、河口の閉塞と横川の水害対策が大きな課題になっている。夏井川水系河川改良促進期成同盟会の総会でも毎年、福島県いわき建設事務所が夏井川の改修工事について説明する。関係する流域の行政区長が同盟会の会員になっている。街への行き帰り、冬のハクチョウ観察に夏井川を見続けている人間としては、流れが行き着く先の河口と横川の問題に無関心ではいられない。

県は専門家による技術検討会で決定した方針に基づき、平成30(2018)年度から抜本的な治水対策を実施している。ポイントは①横川の築堤・護岸②夏井川左岸河口部の築堤・護岸③横川合流部の水門設置――などだ。

以上のようなことを見聞きしていたので、いよいよ始まったか――と、工事用の仮設道路を見て思ったのだった。

ただ、自然は思い通りにはならない。以前、横川との合流点に“石のダム”ができた。それで夏井川河口の閉塞を打ち破ろうとしたのだとしたら、あえなく失敗した。流れは石のダムを超えて滝のように横川へ逆流した。今度はそこに鉄とコンクリートの水門ができるわけだ。

横川には四つ手網を楽しむ小屋がある。一度、そこで仲間とカニ漁をしながら酒盛りをしたことがある。自然の威力は常に人知を超える。流れを遮断したらしたで、今度は違った問題が起きないともかぎらない。水門の効果に期待をかけながらも気がもめる。

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