東北南部の梅雨がおととい(8月2日)、明けた。長い曇雨天だった。砂漠生まれのネギは湿気に弱い。それだけが心配でならなかった。
去年(2019年)は、ネギ苗が梅雨期に根腐れをおこし、あらかた姿を消した。苗を植えつけるときに敷き草を怠った。土寄せをするたびに土が圧縮されて、土中の酸素が欠乏した。これも根腐れをおこした一因だろう。
そのうえ、冷蔵庫で保管していた種が湿って、饐(す)えた匂いを発していた。去年の秋に種をまいてはみたものの、やはり発芽しなかった(いわきの平地のネギと違って、三春ネギは秋まき)。
田村市常葉町の実家の兄が今春、地元のネギ苗を確保してくれた。太く大きな苗だった。4月上旬、実家へ取りに行った足で夏井川渓谷の隠居へ直行し、庭の畑の溝に植え付けた。去年の失敗に懲りて、今年は浅く植えて高くうねを立てることにした。庭の刈り草もすぐ溝に敷き詰めた。こうすると、敷き草がクッションになって土にすき間ができる。土中の酸素も確保できる。
ネギ苗はしかし何を勘違いしたのか、つぼみが次々とできた。越年して種採り用に残した苗ならともかく、苗からネギ坊主ができると、それに栄養を取られてまともには育たない。つぼみを片っ端から摘み取った。
今年の梅雨は思った以上の曇雨天続き。空を鉛色の雲が覆い、雨が降ってはやみ、やんではまた降る、の繰り返しだった。大地はたっぷり水を吸い込んだ。それでも、摘んだつぼみの花茎が枯れて白っぽくなっている以外、ネギには異常は見られない=写真。
先日、兄から電話がかかってきた。「ネギは大丈夫か、『さび病』になっていないか」。向こうでは、ネギを専門に栽培している農家の畑でさび病が出たという。梅雨が明けた日曜日(8月2日)、あらためて「さび病」の有無を確かめる。大丈夫だった。
自宅庭のキュウリは、葉がかび(糸状菌)にやられて白くなった。「うどんこ病」だ。光合成ができなくなるから、つるは勢いがなくなる。そのせいで今も実の生(な)りが芳しくない。ネギもかびにやられる。それが「さび病」。症例としては、葉に橙黄色(とうこうしょく)の斑点が現れる。胞子がつくられ、それが飛散してさらに被害が拡大する。
連作していると出やすいらしい。確かに、「三春ネギ」の継承・保存をと、同じ場所でつくり続けてきた。庭は、後輩が木を伐採したり、草を刈ったりしてくれたおかげで、だいぶ利用可能なスペースができた。今度はそこに苗をつくり、溝を掘るとするか。
なにはともあれ、梅雨が明けた。ネギも人間同様、ホッとしていることだろう。
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