高度経済成長時代の前には当たり前だったこの「贈与」の習慣は、コロナ禍の今、経済的にもありがたい、とカミサンはいう。そこまでジワリ、ジワリと影響がきている。
このところ、夏井川渓谷にある隠居の庭の草刈りや木の剪定(せんてい)を引き受けてくれている後輩から、野菜のお福分けが続く。私が考えもしなかったような野菜がある。海外生活体験者らしく、西洋野菜のアーティチョークやズッキーニを持ってきたかと思えば、落花生の「おおまさり」や、いわき昔野菜の「むすめきたか」(小豆)が届く。さらにはユズ、魚のイナダ・サバ・カツオなども。
先日は、枝豆・ゴーヤー・キュウリ・トウガラシ(万願寺?)などとともに、黄色いウリが届いた=写真上。ウリは食べたことがない。いや、ハヤトウリは糠漬けにして食べたことがある。そのハヤトウリとは形も色も違う。今が旬ならマクワウリか。
まず、長径15センチほどのウリを縦に切って種を取り、皮付きのまま実をこまかく刻んで試食する。甘い! 酷暑の今、冷やして食べると最高ではないか――すぐ冷蔵庫に入れて、晩酌のつまみにした=写真下。さっぱりした甘さがなんともいえなかった。(種も捨てる前に、ムラサキアケビと同じ要領で口に含んで甘みをチュルチュル吸い取るといい)
皮をむいた方が食べやすい。最初の1個は試食ということもあって、皮付きのままだった。食べる段になって皮をむいたから、少し時間がかかった。皮付きのまま冷やして二つに割り、さらに皮をむいて刻めば、すんなり冷えたウリを口にできるのではないか。
で、2個目は、半分は糠床に、半分は皮付きのまま冷蔵庫に。3個目は、さらに“追い熟”をするため、かごに入れて香りが立つのを待つことにした。
池波正太郎の『鬼平犯科帳』に「瓜(うり)もみ」が出てくる。筆頭与力・佐嶋忠介や密偵の大滝の五郎蔵の好物だ。これは青い未熟果を刻んで塩でもみ、やわらかくしたところへ刻んだ青ジソを添え、酢などで調味した夏の食べ物だという。実際にマクワウリを食べて、小説に出てくる「瓜もみ」のイメージが浮かぶようになった。
現代のマクワウリは、江戸時代のそれと同じかどうか。かなりメロンに近い味だ。後輩に聞くと、「『〇〇〇メロン』の名称で苗が売られていました」「今、あらためて添付名札を確認したら、マクワウリ(「金太郎」の商標登録)とありました」。マクワウリはメロンの先祖だともいう。なるほど、メロンの元祖の味を堪能したわけだ。
ついでながら、別の友人からもらった小粒のカボチャをゆでたら、これがまた甘くてやわらかかった。お茶に、晩酌にと、こちらも箸(はし)を休ませるひまがないほどだった。キュウリ、カボチャ、マクワウリ……。ウリ科の野菜は奥が深い。いやいや、ウリ科にかぎらない。ネギだって種類がいろいろある。夏は葉ネギがいい。
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