2020年9月2日水曜日

八茎巡検②逢瀬の滝

                    
  今度の八茎巡検では、M君から事前にもらった資料と略図に、あとから仁井田川の水系を重ねて、メモを整理した。見知らぬ土地を歩いたときには、いつも川を軸にして考える。平地の仁井田川の流れは頭に入っている。木でいうと、梢(こずえ)=源流部はどんな枝=支流で構成されているのか、それを知るチャンスにもなった。

広葉樹の生い茂る天然林に杉の人工林が混交する森の中では、全く方位がつかめない。略図を見ながら、自分が今、八茎山中のどこにいて、何を見ているのかを確かめる。

略図は、8年前の「四倉地区行政嘱託員(区長)協議会探索参考資料」のコピーだ。千軒平溜池や名勝「逢瀬(おうせ)の滝」、八茎鉱山関係施設跡などの位置が、林道とともに記されている。

あとでこれらのスポットの標高を、ネットの地理院地図で確かめた。実際に体験した林道のアップダウンがどのようなものだったかが、標高を知ることで客観化できた。北の千軒平溜池で360メートルほど。それから林道を南に下って銅山神社跡や分校跡周辺が310メートル前後。そのあたりを底に林道を上って、「逢瀬の滝」を見た=写真上1。ここで標高は410メートル前後だ。

梅雨が明けると、雨のない日が続いた。その影響だろう、滝の水は思ったより少なかった。

逢瀬の滝には男滝(おだき)と女滝(めだき)がある。事前に読んだ本多徳次『いわき北部史 四倉の歴史と伝説』(昭和61=1986年刊)、いわき民報の平成9(1997)年7月31日付「カメラアイ」=写真上2=には、一つの滝の上半分が女滝、下半分が男滝――といった表現になっている。どうも合点がいかない。

案内人のM君にあとで確かめたら、今回見たのは女滝だった。男滝はすぐ上にある。つまり、滝が二段になって続いている。それで納得した。男滝は男滝で独立してあり、女滝もその下でやはり独立して存在する。一つの滝の上部が女滝で下部が男滝、というのは間違いだった。

「カメラアイ」では、「逢瀬の滝は仁井田川の源流部にある」と表現している。これも気になる。仁井田川の源流部は、きのう(9月1日)も書いたが、千軒平溜池の上流、三森山と猫鳴山だろう。

逢瀬の滝の流れは、千軒平溜池の下流1キロ余のところで仁井田川に合流する。二ツ箭山が水源だ。強いていうなら、「仁井田川支流の源流部にある滝」、あるいは仮に名付けて「“二ツ箭川”の源流部の滝」と表現した方が正確ではないか。

以上は実際に女滝を見たからこそわいてきた疑問だが、なかでもネットの動画でリポーターが「あいせの滝」「あいせの滝」と言っているのには閉口した。「逢瀬」は1文字ずつ分解すれば「あい」「せ」だが、二文字をつないでこそ意味がある。「おうせ(逢瀬)」。「あいせ」ではゆかしい意味がどこかへ吹っ飛んでしまう。「おうせ(逢瀬)の滝」だからこそ、恋にまつわる伝説も生きてくる。

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