2020年9月22日火曜日

道路の中央から朝日が

                    
    夏井川渓谷の隠居でキュウリやナスを栽培すると、日曜日だけでなく、週半ばの水か木曜日にも取りに行く。でないと、実が大きくなりすぎる。

平日は、それなりにやることがある。朝食前に戻って来るよう、5時半前後に出かける。今の時期、晴れた日には日の出と重なる。真横から日が当たる。帰りには真ん前から日が差してくる。きょうもあまねく照らしてくれるのだ、ありがたいと思いつつも、この時間、車を運転するとまぶしくて困る。

キュウリは役目を終え、秋ナスが最後のエネルギーを振り絞って実を付けている。先週の水曜日(9月16日)、早朝5時25分、ナスを取りに家を出た。田んぼ道を平六小前で左折すると、ややねじれながらも東西に伸びた道路の先、低く垂れこめた灰色の雲海から朝日が顔を出し始めた=写真上1。あまりのタイミングのよさに、つい車を止めてパチリとやった。

現役のころは、季節のニュースやコラムを書くのに「俳句歳時記」が欠かせなかった。土いじりを始めると、太陽や月などの天体の動きを反映した農事暦も参考にするようになった。

そこから「太陽は1分、月は1時間」というおおざっぱな目安が生まれた。正確には潮汐表に当たるが、きょうの日の出の時間は、あしたの月の出の時間は――と、暮らしのなかで考えるにはそれで十分だ。

つまり、夏至(今年は6月21日)から冬至(同12月21日)までは、日の出はおおよそ1日1分遅くなる。冬至から夏至まではその逆。月の出は、おおよそ1日1時間遅くなる。そんなおおざっぱな感覚で太陽と月に向き合っている。

平六小前の道路はほぼ東西に延びる。ということは、春と秋の彼岸前後には道路の中央から太陽が昇り、西の方角の山に沈む。9月16日は「レイライン」(光の道)的なものをタイミングよく経験したことになる。(追記:今朝確かめたら、道路は真東ではなく、やや北に寄っていた。1週間前は道路中央から太陽が出たが、きょうはやや南から現れた)

いわき観光まちづくりビューローがインバウンド事業の一環として「いわき聖地観光」に力を入れている。「観光」は中国の古典・易経の「国の光を観(み)る」に由来する。レイライン観光とは文字通り、「土地の光を観る」ことだ。

秋分の日のきょう(9月22日)、小名浜の日の出は5時24分である。この日、閼伽井嶽の常福寺では本堂に朝日がまっすぐ差し込む。それは計算された“神秘”でもある。その日、その時間、そこにいたからこそ体験できる感動が人に伝わり、また人を呼ぶ。

ネットにアップされていた東北運輸局の広報資料によると、きのう(9月21日)ときょうの2日間、いわきで外国人4人を招いたモニターツアーが行われている。きのう午後1時過ぎ、カミサンの実家へ行くために飯野八幡宮(平)の前を通ったら、それらしい一行が境内にいた。けさは、5時には閼伽井嶽の常福寺に集合して、日の出を見る予定のようだ。未明の東の空には星が輝いている。天気はまあまあのようだから、自分の目で「光の道」を確かめられるのではないか。

さてさて、秋分の日で思い出すのは2012年、シルバーウイークを利用して訪れたアンコールワット(カンボジア)だ。秋分の日にはちょっと早い9月18日、早朝と夕方の2回見学した。

アンコールワットは真西を向いて建っている。そのため、春分の日と秋分の日には建物中央の尖塔から朝日がのぼる。そして、密林のはるか西のかなたに夕日が沈む。「光の道」はしかし、雨季の雲に遮られて見ることができなかった。

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