2020年9月4日金曜日

八茎巡検④八茎嶽薬師

                     
  平地の玉山から奥山の八茎へと県道八茎四倉線を駆け上がり、さらに山陰(やまかげ)の仁井田川に沿って林道を上ったり下りたりしながら、千軒平溜池(ためいけ)、日鉄鉱業関係の施設跡、逢瀬(おうせ)の滝などを見た。

 略図では、逢瀬の滝のそばの道を利用してさらに南へ進めば、八茎字片倉地内の八茎寺(はっけいじ)とその境内にある八茎(やぐき)嶽薬師にたどり着くはずだ。近くには不動滝もある。

しかし、地図はいかに精巧にできていても平面(2次元)にすぎない。現実は立体(3次元)だ。道のデコボコ具合、崖や谷川の様子などは、地図からはうかがい知れない。

案内人のM君は逢瀬の滝から先は大変な悪路だという。足元の悪さはそれまでに十分体験している。彼の判断に従って逢瀬の滝から引き返し、ふもとの袖玉山にできた福島県広域農道を利用して、同薬師を訪ねた。この道路のおかげで同薬師までは簡単に行けるようになった。

閑話休題――。施設跡や名勝を確認するために、事前・事後ともネットの地理院地図やグーグルアース・同マップ・ストリートビューをたびたび参考にした。広域農道については、グーグルはまだ仁井田川に架かる大橋が建設中の段階にとどまっている。

それともう一つ。八茎寺の読みだが、私が記憶しているのは「はっけいじ」。しかし、ある資料では「はっきゅうじ」、ある本では「やぐきじ」となっている。いちおうここでは、自分の記憶に従って「はっけいじ」としておく。

さらにもう一つ。広域農道は玉山字炭釜地内の県道八茎四倉線が起点だ。そばにコンクリート資材置き場がある。その一帯に「新八茎鉱山玉山社宅」があった。すそ野の表玉山~柳生地区に点在する家々の裏山を西北へ進み、標高200メートルほどの上岡トンネルを過ぎると、二ツ箭山に入る。そのまま西進して国道399号を横切った先、小川・福岡の山中で農道はブツリと切れる。

これを終点・県道小野四倉線の高崎までつなぐ工事が行われている。全体の距離は10キロ弱。

さて――。日曜日はほとんど夏井川渓谷の隠居で過ごす。四倉側の広域農道が完成してからは、たまに同農道を利用する。しかし、これまでわき道にそれたことは一度しかない。八茎嶽薬師への道は知らなかった。

同薬師は一度、いわき地域学會の巡検で訪ねた記憶がある。閼伽井嶽薬師・波立(はったち)薬師とともに、八茎嶽薬師は「いわきの三大薬師」といわれている。いずれも徳一が建立したとされる。境内の右に八茎寺があり、左の石段を上った先に金剛門があって、奥に薬師堂が鎮座する=写真上1。

金剛門の左右には金剛力士像が立っている。この顔の表情、体つきを見て、いっぺんに好きになった。子どもが落書きしたような顔立ちだ=写真上2。

ここで一息ついたあと、山陰にある不動滝へ――。山道を歩き始めて、再び林道へ出たところで、私はギブアップした。さらに歩くのだという。エアコンの効いた車でM君ら3人の帰りを待ったが、ほどなく彼らも途中から引き返して来た。山道を上って下りないと滝にはたどり着けない。それまでの行程で体力を使い果たしたようだった。

里からはすぐの距離だが、とにかく谷が深い。容易に人を寄せつけない。八茎はそれだけミステリアスな要素をたたえたエリアのように思えた。

0 件のコメント: