2020年9月20日日曜日

「敬老会開催中止のお知らせ」

        
 あした(9月21日)は敬老の日、あさっては秋分の日――。それでカレンダーの数字が日曜日から3日間赤いわけだ。敬老の日は「9月15日」、が体にしみこんでしまった人間には、平成15(2003)年、ハッピーマンデーによる9月第3月曜日への変更がいまだにしっくりこない。

 しかし、土曜日を含めて4連休、前後に有給休暇をとればまとまった休みになる。春の「ゴールデンウイーク」に次ぐ、秋の「シルバーウイーク」と呼ばれるゆえんだ。

シルバーウイークを利用して、北欧に住む同級生の病気見舞いを兼ねて、仲間数人で還暦記念の海外修学旅行を敢行したのは同21(2009)年だった。

 もう11年がたつ。その年の大みそかに、拙ブログで北欧旅行を振り返っている。旅行に行く前の8月、日本では総選挙が行われ、野党の民主党が圧勝した。鳩山由紀夫氏が首相になった直後だったこともあって、同級生一家を通じて実感した北欧の「高福祉・高負担」政策について触れている。

与野党交代とは違うが、日本の首相が交代したばかりの今、やはり北欧型の政策に希望をみいだしたくなる。大みそかのブログから2点ほどを。

――「高福祉・高負担」をなぜ北欧の人々が受け入れたのか、「見・聞・読」で少し分かってきた。日本の政権交代も、北欧の視点で見ると、そんなに不思議なことではない。時代がそれを求めるようになったのだ。自民党が負けたのでもなく、民主党が勝ったのでもない。時代が勝ったのだ。(その後の展開をみると、この解釈は間違っていたようだ)

自然景観としてはノルウェーのフィヨルドに強い印象を受けた。いや、圧倒的な力で胸に迫ってきた。かの国の国民的文学者でノーベル文学賞受賞者のビョルンソンが、ゲイランゲルフィヨルドについて言っている。「ゲイランゲルには牧師は要らない。フィヨルドが神の言葉を語るから」。まさしくそのようなことを、世界自然遺産のネーロイフィヨルドから感じたのだった。(フィヨルドへはもう一度行ってみたい、そんな思いが今もある)――

さて、それから12年目に入ろうという2020年秋の現実は――。金曜日(9月18日)、市役所から情報保護シール付きのはがきが届いた。用件は三つ。「敬老会開催中止のお知らせ」と「敬老記念品の受取りについて」、シールの裏面には「スパリゾートハワイアンズによる敬老祝いの御案内」とあった=写真。

要は、コロナ問題を考慮し、高齢者への感染拡大を防ぐため、今年は敬老会とハワイアンズへの敬老招待を中止する、敬老記念品はレトルトの「フラ女将カレー」で、これは予定通り支給する、というものだった。

「カレーはもらえるのね」。カミサンが自分あてのはがきを見てつぶやく。敬老会にも、ハワイアンズの敬老招待にも行ったことはない。が、せっかくのプレゼントだ、カレーだけはラトブ内にあるいわき駅前市民サービスセンターへ行ってもらってこようと思う。

スウェーデンの同級生は亡くなったが、「高福祉・高負担」のおかげで、医療費や老後の暮らしを心配しなくて済んだ。子どももいったん就職したあと、勉強しなおすために大学に入った。学費も心配しなくていい。(スウェーデンはやり直しがきく社会だ)

地域社会と向き合い、深部に横たわる問題を知るにつけ、「自助」が政治の前面に出てくる今の日本では、生きにくさを感じる人がさらに増えるのではないか――そんな思いが募る。

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