いわき地域学會の若い仲間から、フェイスブックを介してニホンカモシカの写真が5枚届いた。ブログに使ってもいいというので、1枚をアップする=写真(関内裕人氏提供)。
四倉の八茎銅山跡地の遺構調査に出かけたら、ニホンカモシカがイノシシの罠にかかっていた。森林管理署を介して罠をかけた人に連絡してはずしてもらった、という。
私は今年(2020年)3月20日の夕方、夏井川渓谷の県道小野四倉線でニホンカモシカと遭遇し、ピンぼけながらも写真に撮ってブログに書いた。「阿武隈のカモシカ」の目撃写真が、また一つ増えた。
8月30日に別の若い仲間の案内で八茎銅山跡地を巡った。そのとき、夏井川渓谷の椚平に生息しているアオバトの鳴き声を聞いた。渓谷の椚平から八茎の山中までは、二ツ箭山をはさんで東西わずか7キロほどの距離でしかない。繁殖期、ナトリウム補給のために海水を飲むアオバトならひとっ飛びだろう。
人間にとっても獣にとっても、となるのだが――。平地では、いわき市の夏井川と楢葉町の木戸川は大きく隔たっているようにみえる。が、水源は同じ大滝根山だ。山腹の南(夏井川)と東(木戸川)から流れ出しているにすぎない。低山でも事情は同じ。小川~四倉の往来は、山側からみるとそう難しいことではない。
ネットでニホンカモシカの行動範囲を探った。公益社団法人農林水産・食品産業振興協会によると、雄は15ヘクタール(ざっと400メートル四方)、雌は10ヘクタール(ざっと300メートル四方)程度だとか。思ったより狭い。直線距離にして7キロ程度なら動き回れるのでは、という想像ははずれた。
が、念のために渓谷のカモシカの顔をスケッチし、人相書きならぬ“面相書き”を見ながら、八茎のカモシカと比較した。①左目の下が黒い(八茎)/薄い(渓谷)②角が長い(八茎)/短い(渓谷)③耳が黒い(八茎)/白い(渓谷)④眉間の上が茶色い(八茎)/薄い(渓谷)――。若い大人(八茎)と子ども(渓谷)くらいの違いはある。
考えられるのは二つ。ライバルが少ない阿武隈だから、広く渓谷~八茎を動き回っている可能性がないとは限らない。そうだとしたら、いわきの山中に定着した同じ個体かもしれない。それが半年以上たって大人に近づいた? もう一つは別々の個体。それは“面相書き”からはっきりしている。だとしたら、ただのはぐれ獣のほかに、いわきの山中で繁殖している可能性も示す?
阿武隈高地にはクマもカモシカもいない――。そういわれていたのは、もう遠い昔のことだ。カモシカは「近年、阿武隈高地の一部でも生息が確認されている」と環境省生物多様性センターはいう。
ネット情報でも、浜通りではこの何年か、相馬市、南相馬市、浪江町、富岡町、楢葉町、そしていわき市の三森山、二ツ箭山、遠野町でカモシカが目撃されている。これに、今年は夏井川渓谷と八茎山中の個体が加わった。カモシカはいわきでもすっかり奥山の住人になったようだ。
2 件のコメント:
先日3月24日 いわき市小川町山ノ入り地内で白いカモシカを目撃しました
小川町近辺での目撃情報は聞いた事がありますが 自身での確認は初めてです
入遠野川沿いの山林に興味本位でトレイルカメラを仕掛けた所カモシカが映り込みました。
イノシシでも撮れればくらいに考えていたので驚きです。
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