2021年3月22日月曜日

アカヤシオの雨に打たれて

                     
   きのう(3月21日)の日曜日は、未明に起きると静かな雨だった。時間がたつにつれて風が強まり、横なぐりの雨に変わった。それが夜まで続いた。けさは、雨こそやんだものの強い風が吹いている。

 この連休は、初日が行政区の仕事、2日目が雨の中の墓参・寄合と、自分を奮い立たせながら動き回った。

春分の日の土曜日は回覧資料を振り分けて、行政区の役員さん宅に届けた。年度末は新年度用の資料が届く。「ごみカレンダー」は少し前に配った。おとといは厚みのある「保健のしおり」が入った。

 隣組の世帯数は平均すると10前後。最大でその倍近い。平均的な隣組でさえ、「保健のしおり」が入ると、通常の大型封筒では間に合わない。去年(2020年)までは捨てずに取っておいたレジ袋を利用した。全国一律にレジ袋が有料化された7月以降は、まずレジ袋が手に入らない。代わって、大きめの紙袋(これも捨てずに残しておいた)を使った。

 私が担当する隣組は中層住宅が多い。ふだんは1階の郵便受けに差し込めばすむのだが、とても入りきらない。3階、4階の班長さん宅まで何回も上り下りした。この振り分け・配布だけでエネルギーが尽きた。

 翌日曜日は、午前中はカミサンの実家の墓参り、午後は夏井川渓谷の小集落での寄合――と前から決まっていたので、横なぐりの雨でも行かないわけにはいかない。

 寺へ着くとすぐウグイスのさえずりを聞いた。「おっ、今年(2021年)初めてだ!」。風にこうもり傘をあおられないようにしていた体が、いや心が一瞬軽くなる。「日曜日は荒天」の予報に、前日の春分の日に墓参りをする人が相次いだ。カミサンの実家(米屋)ではこの時期、墓に供える花も売る。前の日、早々に売り切れたという。確かに、日曜日の墓参り組は少なかった。

 それからいったん街へ出て用をすませたあと、渓谷の寄合に出た。平の市街ではソメイヨシノがチラホラ花を咲かせている。渓谷のアカヤシオ(イワツツジ)は街のソメイヨシノと同時に咲き出す。

 まず、籠場の滝付近の対岸をチェックする。谷に近い崖で咲き始めていた=写真。隠居に着くとすぐ対岸を見たが、肉眼では確認できなかった。寄合が開かれる家に行く途中、対岸を振り返ると、1カ所、薄くピンク色になっているところがあった。アカヤシオの花だ。

 寄合では、やはりアカヤシオの花が話題になった。「アカヤシオの花が咲き出したのはきのう」。つまり、春分の日だ。人によっては基準木にしているアカヤシオが異なる。私は隠居の対岸、10時方向の岩盤のそばにあるアカヤシオだ。一人は水力発電所のわきのアカヤシオ。もう一人は、今は空き家になった庭のアカヤシオだ。春分の日に咲くのは「とにかく早い」部類に入る。

 普通のカメラと望遠レンズを付けたカメラでピンクのかたまりを撮影し、拡大すると、周りにもピンクの点々が写っている。肉眼でわからないのは雨がそれを遮っていたからだろう。

アカヤシオの開花を雨の中で確認するのは、25年以上通い続けて初めてだ。「アカシアの雨に打たれて……」という西田佐知子の歌をもじっていえば、アカヤシオの雨に打たれて春の喜びがきた。

「今年はもうカエデも芽吹きそうになっている」。確かに、平地から渓谷へ入ったとたん、県道沿いの木々の枝が赤っぽく感じられた。雨に濡れて枝がそうなったのではなく、カエデの木の芽が赤みを増しているのだった。どういうわけか今年、植物は春機が乱れて発動している。

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