カミサンがシャプラニールのいわき連絡会を引き受けているので、あちこちから使用済み切手が届く。先日、知り合いの家に行くと、お母さんが終活を始めたという。それで手紙の切手を切り取り、小箱に入れたものをカミサンに託した。
それと前後して、カミサンに幼友達から小学校時代の写真が送られてきた。学芸会の劇らしい。子どもたちの表情からすると、小3ないし4年生だろうか(追記:あとから同じ劇の別の写真が出てきた。写真の裏書きに「昭和26年冬の学げい会」とあった。小学2年生のときの劇とわかった)
舞台の後方に木が立っている。その前に木の葉を盾のようにして座っている子が9人。そこにカミサンと幼友達がいる。9人は手製の葉っぱのようなものをかぶっている。さらにその手前、男の子が泣いている子の手を取って助けようとしている。2人のかぶりものは白い鳥のようだ。アヒル?(そのころ、つまり65年ほど前のいわき地方には、ハクチョウは渡って来なかった)
手紙には、2月13日深夜の大きな地震に触れたあと、写真のダンシャリを延々とやっている、カミサンがかわいく写っていたので捨てるにしのびず送った、とあった。
終活で出た使用済み切手とダンシャリの写真がそろう=写真上1=のは、偶然ではない。年齢的なものはもちろんある。それ以上に、10年前の東日本大震災と原発事故が影響しているのではないか。私らも10年前、かなりの量の本をダンシャリした。ダンシャリの意識はその後も途切れることなくある。近年はこれに終活が加わった。
カミサンが写真の解説をしてくれた。残念ながら、何年生のときの、なんという劇かは覚えていないという。「その他大勢」組だったからか。
幼友達はカミサンの後ろにいる。アヒルのようなかぶりものをした男の子は、後年、出版社に入って編集者になる。今は私も一緒に会ったり、連絡を取ったりしている。
ただ、写真は劇が終わってからポーズをとって撮ったものらしい。「劇をやっている最中には撮れないから」。道理で、「葉っぱ」の9人がそろってカメラ目線になっているわけだ。
春分の日のきのう(3月20日)、晩酌をしながら以上のような話を聴いていると、急にスマホが鳴りだした。緊急地震速報だった=写真上2。揺れがくると同時に石油ストーブの火を消し、茶の間の戸を開けた。2月13日深夜並みの長く大きな揺れだった。揺れが鎮まったあと、階段の本を見ると1冊も落下していなかった。いわきでは震度4だった。しかし、体感では5強にはいかないが、4よりは大きかった。
こんな状況だから、東北の太平洋側では特にダンシャリ・終活が進んでいるのではないか。2月13日の場合は、わが家から少し離れたところで「り災証明書」を必要とする家が出ている。壁に亀裂が入った写真を見せられた。きのうの地震でさらに傷が広がった、ということになっていなければいいのだが。
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