隣の行政区にあるガソリンスタンドへ灯油を買いに行く途中、背中に「り災調査/いわき市」のゼッケン=写真=を着けた人を見た。
工事のために道路が片側通行になっているところがある。ガソリンスタンドからの帰り、対向車両が途切れるのを待っていると、「り災調査」の2人がそばの民家の庭に入って行った。一瞬、10年前にタイムスリップしたような錯覚を覚えた。むろんそうではなくて、2月13日深夜に起きた福島県沖地震のり災調査なのだろう。
私個人の「体感」と「見た目」の経験でしかないが、いわきの地震は、東日本大震災のときの6弱が“基本”になる。2・13は揺れの大きさと、階段や2階の本の崩れ具合からみて、3・11よりは被害が軽微だった。が、いわきでは5強(南部は5弱)、場所や建物によっては、地震保険などのために「り災証明」が必要になったのかもしれない。
まずは東日本大震災の被災状況をおさらいする。今年(2021年)3月3日付の「週報」(ということは、まだ市の3・11災害対策本部は解散していない?)によると、いわきの死者は468人。内訳は直接死293人、関連死138人、死亡認定を受けた行方不明者37人で、平成24(2012)年からほぼ毎年11~1人が関連死に加算されている。数字上は、令和2(2020)年2月14日付で関連死が1人追加になって以来、変わっていない。
住家被害は、全壊4644棟、大規模半壊6469棟、半壊2万6452棟、一部損壊2万6004棟の計6万3569棟だった。わが家は半壊の判定で、災害救助法に基づく応急修理費50万円(当時)で雨漏りのひどい2階物干し場を修理した(アシが出た分はむろん自己負担だ)。
通常の災害と違って東日本大震災では原発事故が起きたため、「住民票を移動せずに市内に避難している」人の数の項目もある。事故を起こした原発が立地する双葉郡の8町村を中心に、その数は直近の11月1日現在で1万8474人に上る。
福島県発表の避難者は3万6000人だから、半数超はいわきに避難していることになるのだが……。共同通信によると、どうも県の数値と市町村の数値が合わないらしい。市町村の合計では、避難者は県の倍の6万7000人超になる。すると、その4分の1強がいわきで「仮暮らし」をしていることになる。
さて、ざっと1カ月前の2・13はどうだったか。3月3日付の市の災害報告書から住家だけをみると、全壊・大規模半壊はない。その下の半壊が1棟、一部損壊(準半壊)が4棟、同(10%未満)が119棟だ。り災証明書申請受付件数は2月18日現在、計370件に上る。
日曜日(3月7日)、市美術館へ市民美術展(陶芸・写真の部)を見に行った。南隣の駐車場に車を止めた。美術館とビルとの間の細道を利用した。そこと、入り口広場の歩道沿いにカラーコーンが置かれていた。2・13に「外周平板ブロックのがたつき、外壁損傷」などの被害が出た、というのがこれか。
いわき駅前の総合図書館は、自動出納書庫内にある図書が取り出せなくなったが、10日後の2月23日には復旧した。今は以前のように出納書庫の図書を借りて読んでいる。やはり、思った以上に2・13の傷は深かったようだ。
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