前の日曜日(4月18日)は平田村に用があったので、国道49号から時計回りに阿武隈高地を横断して夏井川渓谷の隠居へ行った。1週間後、今度は逆回りで小野町から古殿町の道の駅へ出かけた。2週連続のマイクロツーリズム(山里巡り)だ。
きのう(4月25日)朝、山里巡りの前に隠居で土いじりをした。合間に、撮影しておきたいものがあった。シロヤシオ(ゴヨウツツジ=方言名マツハダドウダン)だ。
1週間前、早々と新緑に包まれた隠居の対岸に白い点々があった。写真に撮って拡大すると、シロヤシオだった。しかし、ブログにアップするほどの鮮明さと迫力はない。1週間後には白い花がはっきりするはず。そう踏んで待った。
日曜日のたびに渓谷の道路を行ったり来たりしている。そうして見つけたシロヤシオの撮影ポイントがある。道端のカエデなどにさえぎられているので、車からは見えない。歩いていてもそれとは気づかない。枝葉が対岸の谷に垂れ下がっている。その「マイ・シロヤシオ」が満開だった=写真上1。
このツツジに気づいたのは震災後。一本の木の花の数としては溪谷随一ではないかと思っている。
渓谷ではまず、アカヤシオがほかの花に先駆けて咲く。それからおもむろに落葉樹が木の芽を吹く。やがて若葉が黄緑・緑・茶色などのパステルカラーに染まる。と、シロヤシオが点々と花を咲かせる。春のアカヤシオの「艶麗」のあとに、初夏のシロヤシオの「気品」がくる。
このシロヤシオはしかし、毎年花をつけるというわけではない。全山白い点描画になる年もあれば、まったく花が目立たない年もある。
例年だと、ゴールデンウイークに入ってから開花する。5月の花と言ってもよい。ところが、年々開花を早めているようだ。今年(2021年)は4月中旬に開花を確認した。私が渓谷に通い始めてからでは最速だ。
私のシロヤシオは、県道からの眺めが年々悪くなっている。写真を撮るとなると、ガードレールをまたいで急斜面を少し下りないといけない。若いときは谷底までひょいひょい行けたが、加齢とともにそれができなくなった。結局、木の間越しにパシャリとやるしかない。それでも、白いドレスを着たような気品にしばし圧倒された。
フジは木をからめ殺す。そのために人は山に入るとフジのつるを切った。その花が多くなったのは、人が山の手入れをしなくなったため――と、かつて聞いたことがある。
別の例では、こんなのもある。「カネは内藤、下がり藤」。江戸時代の前期、磐城平藩を治めた内藤氏の家紋が「下がり藤」だった。幕末、磐城平領を統治したのは「上がり藤」の安藤氏。現実のフジの花は、「下がり藤」ばかりだ。隠居で土いじりをしたあと、小野町へ駆け上がったが、フジの花前線は渓谷の江田駅前止まりだった。
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