夏井川渓谷の隠居の庭で三春ネギを栽培している。ネギ坊主がくすんだ色になり、黒い種をのぞかせるようになった。日曜日(6月13日)、これを全部収穫した=写真上1。
いつもだと、ネギ坊主をカットしたあと、一気に古いネギを引っこ抜いて溝をつくり、ネギ苗を定植するのだが……。
今年(2021年)はなぜかネギ坊主のできるのが遅れた。しかも、花茎はうねにまばらに立っている。
一方で、ネギ苗は春がくるとぐんぐん大きくなった。空いているうねに順次、溝をつくって定植しないと間に合わない。花茎を避けて少しずつ植えつけていったら、種が採れるころにはうねの3分の2で定植がすんだ。
老人には「少しずつ」が一番。ネギ坊主を採ったあとは一気呵(か)成でも疲れない。古いネギを引っこ抜く。溝をつくる。それが終われば、フィールドカートに座って一連の作業を続ける。畳3枚くらいのスペースだからできる「独り仕事」だ。
まずは古いネギの皮をむき、「分けつ」してできた次の世代(苗)を根ごと残す。
花茎は、後輩がつくってくれたドラム缶釜で焼却する。新しいネギ苗でも「さび病」らしい葉はすべて除去して燃やす。
それと並行して、ネギの苗床を掘り起こし、定植苗を選別する。今年は万年筆並みの太い苗が多い。鉛筆大の苗は「葉ネギ」として食べることにした。
それから残った溝に苗を定植する。これでネギのうねはすべて新しい苗に入れ替わった。分けつネギも植えた。
当初は400本の定植をもくろんでいたが、現実には270本ほどにとどまった。
作業はしかし、それで終わらない。今度も葉ネギがどっさり出た。水で洗いながらごみや泥をとる。1本1本葉の色をチェックする。さび病が出た葉は取り除いて、やはり焼却する。すぐ食べられるように、そして知人に「お福分け」ができるようにするには、手間はかかるがこの下処理が欠かせない。
ネギ坊主は家に持ち帰り、軒下で乾燥させる。ときにはネギ坊主を振ったり、さわったりして、種がこぼれる手助けをする。日ごとに、ざるの底に黒い種がたまっていく。もうちょっとだ。近々、ごみと未熟な種を取りのぞいたら、乾燥剤と一緒に小瓶に入れて、秋まで冷蔵庫に保管する。
この時期、種を採るものがもうひとつある。辛み大根だ。辛み大根は耕したうねに種をまくと、鉛筆のように細い根を伸ばす。それで今は不耕起栽培に切り替えた。土が硬いとストレスがかかるのか、辛み大根はずんぐりむっくりになる。それがいい。冬、おろして食べる。
種はさやのなかで眠っている=写真上2。さやをそのままうねに放置していたら、8月後半に芽を出した。不耕起のうえ、さやを放置しておいてもいいのだ。
とはいえ、3株だけでもさやは鈴なりだ。あらかたは収穫して保存する。その一部を不耕起のスペースにばらまくことにする。月遅れ盆のころ、芽が出ればもうけものだ。
辛み大根に比べたら、ネギは繊細だ。砂漠生まれだけに、高温多湿の日本の夏を、涼しく過ごさせないといけない。絶えずルーツに立ち返らないと泣きをみる。
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