2021年6月4日金曜日

続・奥深いカツオ料理

                      
 NHKの昼のニュースが終わったあともテレビをつけている。先日は「梅沢富美男と東野幸治のまんぷくメシ!」をやっていた。千葉県勝浦市の「日戻りカツオ」を取り上げた。未明に出港し、その日のうちに帰ってくるので、身はプリプリしている。刺し身のほかに、「なめろう」「まご茶」「さんが焼き」が登場した。

 先に拙ブログでわが家のカツオ食について書いた。刺し身一本やりだったが、食が細くなって余るようになった。冷蔵庫に入れて、翌朝、海鮮丼のようにして食べる。それでも余るときがある。にんにく醤油に漬けて揚げたものを晩酌のつまみにする。

 このごろは「にんにく揚げ」さえ余ることがある。すると、これを醤油で煮てほぐしたフレーク状のものが出る。これも酒のつまみになる。それぞれに味が違う。再利用の再利用だ。

勝浦ではどんな食べ方をするのか、いわきのカツオ料理とどう違うのか、興味を持って見た。

まず、「なめろう」。カツオの刺し身を細かく刻み、薬味(ショウガやネギ、大葉)と味噌を加えてさらにたたき、具材を混ぜ合わせる。いわきでは、秋に「秋刀魚(さんま)のなめろ」を食べる。つくり方は同じだろう。

「まご茶」は、カツオの刺し身のお茶漬け。ご飯の上に刺し身を載せて熱湯を注ぐ。これにわさびや薬味を加えて醤油をたらす。いわきの「お湯かけ飯」は、醤油で下味をつけた刺し身を載せて熱湯をかける。刺し身の表面が白くなったくらいで食べる。

「さんが焼き」は「なめろう」を平たく丸め、大葉を巻いて、油を引いたフライパンで両面をこんがりと焼いたものだそうだ。いわきでも「秋刀魚のなめろ」を焼けば「ぽうぽう焼き」になる。

『いわき市伝統郷土食調査報告書』(1995年)の<一口メモ>にこんな文章が載っていた。ハマの食文化が多彩な理由の一端を物語る。「昔の人は、よく始末という言葉を使った。残り物や、いらなくなったものを片付けるという意味である。(略)台所を任される人の、余りものを出したくない、無駄をしたくないという始末の気持ちから生まれたものに違いない」

 勝浦といわきのハマでは、同じ料理の具材がカツオからサンマに変わったり、味付けの仕方が前後したりするが、残さずに食べきるという心は共通しているようだ。

 さて先日(日曜日ではない平日)、わが家ではめったにないことだが、カツオの「ひやま」を食べた。カミサンの四倉の知人が届けてくれた。半分は「揚げびたし」になって出た=写真。これもうまかった。

『いわき市伝統郷土食調査報告書』には、ほかに「沖だけ」「煮和膾(にえなます)」などが載る。レシピを参考に載せる。

「沖だけ」。カツオの煮付けを天日に干して火で燻(くゆ)らせたものを、さらに干して硬くする。食べるときに削って大根おろしに混ぜあわせる。蒸したあとに干す生節の原型のようなもので、ご飯のおかずになる。

「煮和膾」。かつおを三枚におろす。おろした身は刺し身にする。頭から目玉と肉を取り出し、ハラスも加えて、まな板の上でナタか出刃包丁で時間をかけて砕く。それを鍋に入れ、味噌を加えて炒める。これを刺し身にからめて食べる。

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