2021年6月7日月曜日

型破りと形なし

                      
 毎朝、新聞に折り込まれるチラシをチェックする。裏が白いパチンコ店のチラシとA4判のお悔やみ情報は、メモ用に取っておく。

 テレビを見たり新聞を読んだりして浮かんだ感想やキーワードをもとに書きなぐったメモが出てきた。ほかにもいくつかある。ブログの下書きのようなものだ。別のキーワードで原稿をまとめているうちに、前のメモがたまっていく。きょう(6月7日)のブログは4カ月前(2月)のメモを利用して書いた。

 コロナ禍以来、「可処分時間」が増えた。コロナ禍の前を1としたら、おそらく1.3くらいになっている。

 増えた時間をどう使うか。本を読んだり、調べものをしたりする。テレビを見る時間も増えた。朝9時以降はBSプレミアムの「プレミアムカフェ」(再放送)をつけながら、「在宅ワーク」を続けることが多い。

ある日のドキュメント番組「平成中村座」では、伝統を踏まえながら創造的な歌舞伎を展開する故中村勘三郎の心意気を伝えていた。

革新的な仕事にからめてこんな言葉が紹介される。キーワード風にいえば「型破り」と「形なし」。「型」を持った(マスターした)人が破るから「型破り」。「形」のない人がやれば「形なし」

 新聞記者にも通じる話だった。事故や事件の報道には、いつ・どこで・だれが・どうした・なぜ――といった「定型」がある。定型に従えば原稿が出来上がる。しかし、それだけがニュースではない。定型では書けないニュースをどう組み立てるか。記者になりたての若造が意識したのは、早く「定型」をマスターして「定型」を超えていくこと、つまりは、「型」を破ることだった。

 別の言葉でいえば、基本がないと応用がきかない。基本は定型、あるいは「形」で、基本がないのに応用ばかり考えれば、それは「形なし」ということになる。

「創造的休暇」。これもキーワードとして頭に残った。アイザック・ニュートンがケンブリッジ大学で学位を取ったころ、ロンドンでペストが大流行した。その影響で大学が封鎖された。ニュートンはこの間故郷に戻り、自由な時間を思考にあてて「万有引力の法則」を発見した。ニュートンはあとでこの時期を振り返り、「創造的休暇」と呼んだそうだ。確か新聞で知り、滋賀県のホームページなどがコロナ禍に合わせてこのエピソードを紹介していた。

さらに、もう一つ。「奈良の大仏」がなぜ建立されたか、もテレビで知った。コロナ禍に合わせた歴史の掘り起こしだった。

「天平の疫病大流行」が起きた時期に、平城京から新羅へ使者が派遣される。この遣新羅使が九州を行き来する間にり患し、生き残った使者が都へ戻ると、疫病(天然痘)が大流行した。責任を感じた聖武天皇が東大寺と盧舎那仏(るしゃなぶつ=奈良の大仏)の建立を命じたのだとか。

 さて、添付の写真を何にしようかと考えたが、私のカメラ術はいつも「形なし」だ。細かい操作ができない。たまたま朝、歯を磨きながら見つけた庭のノビルのむかご=写真=をアップする。これだって「型にはまった」写真にすぎないが、朝のやわらかい光のなかで粒の一つひとつがはっきりわかる。今まで撮ったノビルの写真の中では一番出来がいい。

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