いわき市川前町の小白井(おじろい)地区で栽培されている在来作物のキュウリは、調査報告書がつくられた時点で「小白井きゅうり」と表記された。いわき昔野菜保存会もそれを継承している。つまりは固有名詞だ。
これに対して、ホームセンターや種苗店で売っているキュウリ苗は、地域や伝統とは無縁なので、一般的な表記法に従ってカタカナで書く。その方がしっくりくるのは、長年、『記者ハンドブック』を使ってきたからだ。
もう1カ月以上前になる。日曜日に夏井川渓谷の隠居へ行くと、玄関前に小白井きゅうりのポット苗が5個あった。地元のKさんからのお福分けだった。市販のキュウリ苗用にうねをつくっておいたので、隠居の庭には急きょ小白井きゅうり4株、市販のキュウリ2株を、残り各1株は持ち帰って自宅台所の軒下に植えた。
その苗が今のところ順調につるを伸ばしている。6月下旬には軒下のキュウリから最初の実を収穫した。数日後には2本目を摘んだ。きょう(7月4日)は早朝、3本目を採った。
小白井きゅうりと市販のキュウリを毎日観察している。生長は市販キュウリの方が早い。葉は小白井きゅうりの方が大きい=写真上(左が小白井きゅうり、右が市販のキュウリ)。黄色い花=写真下=もそう。この花の大きさが、やがてずんぐりむっくりの実になるわけだ。
去年(2020年)は、葉が「うどんこ病」にかかった。光合成ができなくなり、勢いが衰えて実の生りも思うようではなかった。
病気の元は「泥はね」らしい。それを防ぐために、根元にもみ殻を敷いた。乾燥防止も兼ねる。
朝は真っ先に葉の状態を見る。小さな白斑のようなものが現れてきたなと思ったら、葉ごと切ってごみ袋に捨てる。それを1枚、別の日にまた1枚、とやる。
しかし、これではきりがない。ある日(6月29日)、その白斑を粘着テープで取ってみた。すると、白っぽさは残るものの、地の緑色が見えてきた。とりあえず、粘着テープが有効かどうかを確かめることにした。それで白斑が拡大・飛び火しなければもうけものだ。(5日目のきょう現在、拡大の傾向は見られない)
うどんこ病をなくすことはできないにしても抑えることはできる。この試みが成功したら、農薬抜きの対症療法が可能になる。果たして結果はどうか。
とにかく観察して考える、何かひらめいたら実行してみる、既成の概念にとらわれないであれこれ試す――こういったことができるのが、趣味の「農の営み」のいいところだ。失敗したらしたでそれも報告し、情報を共有する。そういうつながりが広がればいい、と思っている。
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