2021年7月19日月曜日

軒下の厄介者

        
 しばらく寄りつかなかったキイロスズメバチだったが……。夏井川渓谷の隠居へ行って雨戸を開けると、坪庭の向かい側、風呂場の軒下にまたハチの巣ができていた=写真。盛んにハチが出入りしている。1週間前には全く気づかなかった。

 母屋と風呂場はトイレ・洗面所の廊下をはさんでコの字につながる。コの字に囲まれた空間が坪庭だ。この坪庭にせり出した軒下を、何年も前からキイロスズメバチがすみかに選んでいる。巣が雨にぬれる心配がない。これが場所選びの一番のポイントのようだ。

 義父が建てた隠居の管理人になっておよそ四半世紀。この軒下にできたハチの巣は、ソフトボール大からサッカーボール大まで5、6個はあった。一度できた巣が再利用されることはない。一番大きな古巣(サッカーボール大)を取り外して床の間に飾ったことがある。そのときの様子をブログで確かめた。2008年のことだった。

やはり今ごろ(7月下旬)、孫を連れてきた息子がソフトボール大のハチの巣を見つけた。今回と同じように、盛んにハチが出入りしていた。焼き物でいえば「練り込み」。これは今も変わらない。

 それから1カ月半後、巣はサッカーボール大に成長した。働きバチたちが、隠居の隣の空き地の草むらを覆うヤブガラシの花と巣の間を盛んに往復していた。

 そのころはまだ土曜日に泊まっていた。夕方、うす暗くなってもキイロスズメバチは飛び続ける。9月の朝5時といえば、まだうす暗い。起きぬけに巣を見ると、ハチはすでに動き出している。

 2カ月半後の11月末には、大きなすみかは「空き巣」になっていた。農家がそうするように、「空き巣」を「家宝」として床の間に飾るか。

脚立を持ち出して、軒下のキイロスズメバチの古巣をはぎとりにかかった。手で動かそうとしてもびくともしない。すごい接着力だ。結局、巣の根元を壊してはぎとった。巣は何層にもなっているらしい。が、一層一層は紙のように薄くてもろい。雨に弱いから軒下のようなところを選ぶしかないことが納得できた。

それはそれとして、怖いのはチクッとやられることだ。このサッカーボール大の巣ができる前、軒下ではなく、板塀のすきまを利用して風呂場の壁に巣をつくったことがある。坪庭の水場付近で草むしりをしていたカミサンが、このとき刺された。

やけどをしたような痛みが治まらない。いわき市立総合磐城共立病院(現いわき市医療センター)の救命救急センターへ車を走らせた。ドクターの指示で、点滴を打ち、呼吸困難といった急変がなかったため、やがて帰宅を許された。「今度刺されたら、すぐ救急車を呼ぶように」。ドクターが念を押した。

カミサンはすでに2回、コロナワクチンを接種している。副反応はなかった。当面の厄介者には防衛線を張ることができた。が、キイロスズメバチはとなると、また別だ。こちらは2回刺されると、アナフィラキシーショックが起きかねない。

カミサンに新しくできた軒下の厄介者を見せて、街場と同じ感覚で草むしりをしないように注意した。こちらはハチもアブもマムシもいる生きものの王国なのだから。

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