キュウリやインゲン、ナスなどの夏野菜が出回るようになった。森ではイグチ系の夏キノコが姿を見せていることだろう。
夏井川渓谷の隠居の庭でも、市販のキュウリや小白井きゅうりがつるをのばし、実をつけ始めた。植え残りの三春ネギが古い苗床で育っている。それらを収穫してカゴに入れると、少しばかり豊かな気分になる=写真上1。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のフェイスブックに、山菜やキノコを採(撮)ったり、食べたりする人たちのグループがある。梅雨キノコ、そして今は夏キノコの情報が連日、アップされる。見るだけでも楽しい。
この時期、気になる夏キノコは二つ。色は真っ赤で毒々しいが、ホイル焼きや吸い物にすると美味なタマゴタケ。そして、イタリアでは「ポルチーニ」と呼ばれるヤマドリタケの仲間。日本では近縁種のヤマドリタケモドキがよく採れる。ヤマドリタケもモドキも傘の裏がスポンジ状(管孔)だ。
もう30年以上前になる。夏、タマゴタケが群生する里山の斜面を見つけた。毎年、自分のシロとしてタマゴタケを採取した。しかし、菌糸はいつもそこにとどまっているわけではない。いつのころからか、その斜面ではタマゴタケの姿を見なくなった。それでも幻影は消えない。フェイスブックに刺激されて訪れてみたが、やはりただの静かな林だった。
その里山は夏になるとイグチ系のキノコも次々に発生する。渓谷の森もそうだ。谷沿いの小道を行き来するだけで巨大なアカヤマドリやヤマドリタケモドキに出合う。
いわき市を含む福島県の浜通りなどでは原発事故以来、野生キノコの摂取・出荷が制限されている。だから、森へ入っても写真を撮るだけ、採ったら線量を測る。といっても、この10年で測ってもらったのは、先日のアラゲキクラゲ1回だけだ。
そろそろイグチ系のキノコと対面したい。そんな思いがふくらんでいたとき、昼にパスタが出た。「ポルチーニが入ってる」という。カミサンがつくるのは主にナポリタンだが、今回は見た目も味も違うクリームソースだ。コープを通じて購入したという。味にコクがある。
最初、マッシュルームが入っていることを知らなかったので、コリコリした食感が即・ポルチーニと思ったが、そうではなかった。ポルチーニはペースト状だ。ということは、風味と旨みを引き立てる役で、コリコリ感はマッシュルームだったのだろう。
コクのある濃厚なクリームソースをまた食べたくなった。隠居へ行ったら、森へ入ってポルチーニの仲間を探してみよう。ただし、撮るだけだが。
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