おととい(6月29日)は梅雨らしい一日になった。未明に降りだした雨が、午後、小やみになったところで街へ出かけた。用をすませたあと、石森山(平)へ車を走らせた。ここ何日か遊歩道の散歩を休んでいる。雨上がりの森の様子を見てみるか――。
平の街から石森山へのルートは一つ。平商業高校のわきを通って石森山へ駆け上がる。帰りは絹谷林道を下って草野へ抜ける。
間もなく雨はやむはずと踏んでいたが、そうは問屋が卸さなかった。傘をさしてすり鉢の底のような遊歩道を歩いた。
東北南部が梅雨入りをして10日目とはいえ、雨は少ない。夏空の日もある。そうしたなかでのやや強い降りだった。やみそうでやまない、傘をたたみたくてもたためない。が、森にはいいお湿りになったようだ。
道端の折損木からキノコが発生していた。前に見たキノコもまだ形を保っている。ほかにも、傘の大きいキノコ、小さいキノコが地面から出ている。名前はわからない。ようやく「梅雨キノコ」のおでましだ。
木材腐朽菌のアラゲキクラゲは雨に濡れて元気になっていた。人間の足に似た折損木のアラゲも生気がよみがえった=写真下。
そのお返しのようなものだった。バックし始めたあたりにオカトラノオの白い花が咲いていた=写真上。里山では今年(2021年)初めて見た。この1週間のうちに咲き出したようだ。
日曜日(6月27日)に夏井川渓谷の隠居へ行ったとき、道沿いにオカトラノオはなかった。もう終わったのか、それとも姿を消したのか。平地の石森山で盛りなら、渓谷はこれからだろう。胸の奥にほのかな明かりがともる。
東日本大震災と原発事故がおきた年(2011年)は、初夏がめぐってきても、梅雨に入っても、「季節のセンサー」ははたらかなかった。放射能でこれから先どうなることやら……。5月にウツギが咲き、6月にアヤメやホタルブクロ、オカトラノオが咲いても、花と向き合う気持ちにはなれなかった。
それが変わったのは、隠居の庭でネジバナを見たときだった。やっとカメラを向ける気になった。3・11から4カ月がたっていた。
きょうから7月。未明の4時過ぎ、ポリ袋に入った新聞を取り込むと少し濡れている。霧雨が音もなく降っていた。やはり、梅雨の真っただ中だ。郊外ではネムノキの花が、庭ではクチナシの花が咲き出す時節を迎えた。
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