2021年7月13日火曜日

休止前の公開が復活

        
 いわき市立図書館のホームページに「郷土資料のページ」がある。いわき地域の新聞・地図・絵はがきなどがデジタル化されて収められている。

 なかでも新聞は、明治40(1907)年、いわきで最初に発行された民間新聞「いはき」から、現在も発行が続くいわき民報の昭和56年まで、36紙がいつでも、どこからでも読めるようになっている。

 ところが――。去年(2020年)の師走、いわき民報とライバル紙だった常磐毎日新聞の2紙が、急に「工事中」の表示がされて読めなくなり、年が明けると新聞一覧から消えた。

 私は日常的に「郷土資料のページ」の「新聞」欄を利用している。特に、いわき民報は昭和21(1946)年創刊で、いわきの戦後~現代史を調べるうえでは欠かせない資料だ。

なぜ2紙が一覧から消えたのか。その説明さえないのはどういうことだ。「調べる楽しみ」と「知る喜び」を奪われた。「公益」と市民の「知る権利」を損ねる問題だという自覚が、図書館にあるのか。納得がいかないので、拙ブログで2回、このことを取り上げた(今年1月7日付「図書館の存在意義が問われる」、同22日付「図書館の自由とは」)。

 すると、「郷土資料のページ」のフロントに次のような「お知らせ」が載った。デジタル資料の公開の在り方を検討しているので、一部資料の公開を休止している令和2年度内をめどに方針を決める公開を休止している資料は、いわき民報と常磐毎日新聞これらの資料は総合図書館の「商用データベースコーナー」での閲覧が可能――

 コメントも入って、一覧画面の上にある検索欄に紙名 昭和28”(数字は半角英数)」などと入力すると、いわき民報、常磐毎日新聞の消えたページが検索できることを教えられた。しかし、このウラワザを使っても、ある時期のいわき民報は利用できないことがわかった。

 方針を決めるはずの2年度が過ぎても事態は変わらない。いいかげんにしてくれ。再び不信感がふくらみ始めたところへ、きのう(7月12日)、同じように「郷土資料のページ」を利用している若い知り合いから電話が入った。「復活しました」

確かに、いわき民報も常磐毎日新聞も新聞一覧に復活していた。フロントの「お知らせ」も変わっていた=写真。

①地域新聞については個人名や固有名詞が多数あることから、プライバシー等に考慮し、著作権の保護期間が満了している昭和42年以前に公表された著作物を公開することにした②いわき民報の昭和43~56年については、いわき民報社の許諾を得たので、休止前の公開を再開する――という内容だった。

 なぜ昭和42年か。平成30(2018)年に著作権法が改正され、保護期間が死後(団体の場合は公表後)50年から70年に延長された。該当するのは昭和43(1968)年からで、同42年12月31日までに亡くなった個人、あるいは団体の著作権は保護の対象からはずれる、ということが調べてわかった。このため、昭和43年まであった常磐毎日新聞はその年の分だけ閲覧できなくなった。

が、今回の「利用休止」は著作権うんぬんの問題だったのか。そうではないだろう。総合図書館の入り口壁面に「図書館の自由に関する宣言」が掲げられている。この宣言を思い浮かべると、「公開復活」も手放しでは喜べない。

0 件のコメント: