2021年7月28日水曜日

今年もナラ枯れが

                     
 今年(2021年)も「ナラ枯れ」被害が目立つようになってきた。おととい(7月26日)早朝、夏井川渓谷の隠居へ行く途中で確認した。

 いわき市小川町の平地を一段上がった高崎地内から渓谷の江田地内にかけて、主に右岸・塩田地内の山林に新しい“茶髪”が見られる。これからさらに黄土色のメッシュが増えていくのではないか。

去年、月遅れ盆の入りに隠居へ出かけ、塩田地内の山が茶髪になっているのに初めて気づいた。驚いた。10日ほどあとのいわき民報でいわき市内のナラ枯れの実態を知った。記事と拙ブログを参考に、ナラ枯れのメカニズムやいわき地方の被害状況などをおさらいする。

犯人は体長5ミリほどの小さな昆虫・カシノナガキクイムシ(カシナガ)。雌がナラ菌やえさとなる酵母菌などをたくわえる「菌嚢(きんのう)」を持っている。雄に誘われて大径木のコナラなどに穿入(せんにゅう)し、そこで産卵する。菌が培養される。結果、木は通水機能を失い、あっという間に枯死する。

カシナガの幼虫は孔道内で成長・越冬し、翌年6~8月、新成虫として一帯に散らばるので、被害もまた拡大する。

福島県いわき農林事務所・いわき市などによると、いわきでは平成30(2018)年、田人地区ほかでコナラなど50本のナラ枯れが初めて確認されたおととしは勿来・大久・小川などの中山間地のほか、平地の平・内郷・錦といった街中でも被害が相次いだ去年は8月2日の梅雨明け後、市民から相次いで情報が寄せられた、という。

そして、今年また、カシナガの加害が始まった。去年、茶髪になった周辺に多い=写真。去年の被害木からカシナガが現れるのだから、近場の木にアタックするのは当然だ

去年夏以降、ナラ枯れの木を観察してきた。ナラ枯れの葉は落葉しない。風にちぎられるだけ。冬、枝先に葉のかけらが残っているものもあった。新成虫が飛び出したあとは、時間とともに朽ちていくのだろう。

去年と今年のナラ枯れの違いははっきりしている。去年のナラ枯れの木は、遠目には幹と枝の「骨」にしか見えない。その分、色もさめて白茶けた感じだ。ものにたとえるとシロサンゴ風。今年のナラ枯れは葉が茂ったところで、枯れて茶髪になったから、枝と幹は見えない。

双眼鏡でチェックしたら、葉の中央はまだ緑、しかし周囲が枯れて、色がまだらになっている茶髪途中の葉もあった。葉が水分を失うと、へりから枯れ始めるようだ。

ナラ枯れに気づいた去年、車で出かけるたびに平地の丘陵、郊外の里山と、どこがどう茶髪になっているかをチェックしてきた。

今年もそうしている。夏井川の堤防を通ると、右岸の奥、南白土から山崎へと丘陵が伸びる。そこにも点々と新しい茶髪ができている。

私が住んでいるのはその反対側、左岸域だが、そこの丘陵でも茶髪らしいものが目につくようになった。まさか里山の風景が茶髪だらけになるようなことはないだろうが。

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