春になると庭に出て歯を磨く。磨きながら、地面に現れたヤブガラシの芽を摘む。これを、7月に入った今も続けている。台所の軒下にキュウリ苗を植えたあとは、こちらも歯を磨きながら観察する。
雨の日はむろん、そこまではしない。先日(6月29日)はたまたま、玄関の外に立って、空を、雨だれを、周りの木々を眺めながら歯を磨いた。
玄関のそばに鉢植えの針葉樹がある。背丈は1.3メートルほどだろうか。先端に1センチほどの青灰色のかたまりが1個あった。花が咲いたかどうかはわからなかった。色からして未熟な実に違いない。
このくらいの実をなにかに利用して遊んだような……。パッと思い浮かんだのは「杉玉鉄砲」だ。つくった覚えはない。遊んだ記憶も、あるようなないような。(追記=昼前、ブログを読んだ実家の兄から、電話がかかってきた。「杉玉鉄砲は、やった、青っぱなをたらしながら」ということだった)
ネットでつくり方を見た。篠竹(しのだけ)を切って筒と把手(とって)をつくる。把手に竹ひごをつける。杉の雄花をばらして筒の両先端に詰める。ひごで押し込むと、プチッと音を出して杉玉が飛んで行く。ばらばらになった花の粒は2ミリちょっと。竹筒も12センチくらい。
杉玉ではなく、紙玉を飛ばしたような記憶はある。青灰色の実を見た瞬間の連想でいえば、紙玉鉄砲の方が近い。そうそう、竹で水鉄砲をつくったこともある。
それはさておき――。この実の近くに、網を張ったクモがいる。普通のクモの巣と違うのは、白い隠れ帯が渦巻きになっていることだ。渦は長径1.5センチ、短径1センチほど。
とりあえず歯磨きを終えてから、写真を撮る。あとはネットで何なのかを検索する。この日の午前中は、これ二つを調べるだけで時間が過ぎた。
まずは白い渦巻きの方から=写真上1。カタハリウズグモというらしい。隠れ帯には「渦」と「線」がある。えさが多いときは線形、えさが少ないときは渦形。ということは腹ペコなのか、この個体は。
上から撮り、場所を変えて下から撮る。クモは巣の下に張り付いている。それでいつも思うのは、人間はこの格好ならすぐ頭に血がたまる、どうやってそれを防いでいるのか。どこかに研究論文があるにちがいない。が、そこにはまだたどり着けないでいる。
この針葉樹はコノテガシワというらしい。ヒノキ科の1種で、中国北部が原産とか。なんでここにあるのかは、カミサンもよく覚えていないようだ。
玄関の戸を開けるとすぐ庭に出る。庭と玄関の間にある鉢植えは素通りだ。雨が与えてくれた眼福というやつかもしれない。建物のすぐそばでさえ、人の想像を超えたいきものの営みがある。
0 件のコメント:
コメントを投稿