2021年8月18日水曜日

災害レベルって?

                     
  このごろは、朝、真っ先に新聞とネットで新型コロナウイルス感染問題の記事を読む。併せて、いわき市のホームページや夕刊のいわき民報=写真=でコロナ関連の最新情報をチェックする。森と同時に木を見ないと、いわきのコロナ感染問題が「自分事」にならない。

東京都の8月12日のモニタリング会議で、専門家から「制御不能の状況」「災害レベルで猛威を振るう非常事態」「自分の身は自分で守る」といった言葉が出たそうだ。見えないウイルスを相手にどう自衛しろというのだろう。市民はただただとまどい、不安を募らせるだけだ。

「災害レベル」といわれて思い浮かぶのは2011年3月の東日本大震災、あるいは1995年1月の阪神・淡路大震災だ。死傷者が多数発生し、傷病者には優先順位がつけられた。

いわゆるトリアージ。ネットで知ったのだが、トリアージタッグ(識別票)には四つある。①生命が危機的で今すぐ治療が必要②処置に数時間の余裕がある③生命の危機がなく外来で十分④すでに死亡、救命の見込みがない場合――で、①は赤色、②は黄色、③は緑色、④は黒色で表示する。傷病者にはこのタッグが右手にゴム輪で巻き付けられる。

コロナでも選別が行われている。政府は、重症者と中等症者は原則入院だが、ほかは自宅療養とする方針を打ち出した。県紙が福島県内59市町村の首長に政府方針への賛否アンケートをとった。容体急変を懸念して29人が入院制限に反対したという(福島民報)。半数以下だ。少なくないか。

感染拡大に伴って自宅療養者の数がいわきでも増えている。児童施設でクラスターが発生し、小さな子どもを親元から離して治療するのは難しい、どうしても自宅療養になる、というのが大きな理由のようだ(福島テレビ)。

自分の身は自分で守れ――。これはコロナ感染問題だけではない。最近、続いた酷暑でも、頻発している豪雨でもよく耳にする。四六時中「自分の身は自分で守れ」といわれているようなものだ。

確かに大災害発生直後には、「公助」はあてにならない。「自助」「共助」が重要と喧伝されてきた。

が、コロナに関しては「自助」にも限界がある。原発事故では放射性物質の吸入を避けるためにマスクをした。コロナでも感染を防ぐためにマスクをしている。放射性物質は少なくとも感染しないだけ、自助の効果が出る。コロナはそのマスクさえかいくぐる。

ネットの青空文庫で鴨長明の「方丈記」を読んだ。10年前にはリアルな文庫本で読んだ。その後、列島のあちこちで大災害が続き、2019年には台風19号でいわきも大きな被害を受けた。今度はこれにコロナが追い打ちをかける。これまで経験のない「方丈記」以上の世界に生きている。

政府はきのう(8月17日)、まん延防止等重点措置の期限を、8月31日から9月12日に延長することを決めた。いわきも延長となれば、私らリタイア組でも、関係する行事の延期・中止、内容・方法の変更などを余儀なくされる。

あしたがどうなるか、わからない日々――。「方丈」よりはやや広い茶の間で巣ごもりしながら、暗澹(あんたん)たる思いに包まれる。

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