2021年10月5日火曜日

カーブミラーがそこにある理由

        
 カーブミラーがそこにある=写真。車で通るとき、チラッと対向車の有無を確かめる。通り過ぎればすぐ、意識からカーブミラーは消える。

区内会の役員をするまでは、カーブミラーはそんな存在だった。なぜそこにあるのか、考えてみたこともなかった。

 今は違う。どこのマチでも、里でも、そこにカーブミラーが設置されるまでの経緯があることを知っている。

 見通しが悪い、危うく事故を起こしそうになった、あるいは現に事故が起きた――それが発端。住民から区内会に、区内会から自治体にカーブミラー設置の要望が出される。

 いわき市の場合は、市の担当職員が区長に立ち会いを求めて現地を調査する。といっても、二つ返事で設置されるわけではない。予算が限られている。「一つの区で年に一つくらい」。どこかに集中してやるのではなく、各地区にまんべんなく、というのが行政のやり方だ。

 直接、行政に要望が持ち込まれることもある。その場合でも、区長に連絡がきて立ち会いを求められる。新設に限らない。カーブミラーの角度の変更にも連絡がくる。もちろん、立ち会う。

 夏の初めにこんなことがあった。ある場所のカーブミラーの向きを直してほしい、という要望が担当課に届いた。

カーブミラーはその地域の幹線道路に立っている。脇道から見るとT字路、カーブミラーのそばにも脇道があるから、ちょっとずれた変則十字路だ。

脇道からは、ミラーは見通しのいい左側を向いている。右側は角にアパートが立ったこともあって、見通しが悪い。ミラーの向きを右側に変えれば事故の心配が減る、というのが変更を求める理由だった。確かに、それには一理ある。

カーブミラーの向きが変わるとすぐ、今度は近くに住む人から担当課に苦情が入った。ミラーの向きがあのようになっていたのは、脇道から幹線道路へ向かって来る車がわかるようにしたためだという。ミラー設置時の事情を知る人だったのだろう。確かにこの交差点では、脇道から出て来る車の事故がときどき起きる。

 ということで、ミラーの向きは元に戻された。すると、先に要望した人がやって来て事故の心配を告げた。

 あとは経緯や現況を踏まえた調整になる。行政は「予算が余れば、新しくカーブミラーを増設する」といっている。予算が余らなかったら、来年度あらためて区内会から設置を要望する――ということで了承を得た。

 ほかにもカーブミラー設置の要望が出されているところがあった。こちらは住宅地にできた施設が設置した。要望から設置までは、現場確認、区長立ち会いと同じ経緯をたどった。

 さらにもう1カ所。夏にT字路で交通事故が起きた。脇道から出た車と左から来た自転車がぶつかった。左の角は中層住宅の生け垣で見通しが悪い。

 最初は生け垣を切って見通しをよくしてもらえばいい、と単純に考えたが、それはどうもよろしくない。幹線道路側にカーブミラーが立っている。生け垣の角が見えるように角度を直してもらおうか。待てよ、先の例もある。車で幹線道路を通ってカーブミラーの角度を確かめたら、脇道から車がよく見えるようになっていた。

 これでは、前の例と同じだ。新しく増設を要望しないといけない。ということを、いずれ区の役員会に報告して、了解をもらうことにした。

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