2021年10月4日月曜日

2カ月ぶりの図書館

        
 ほぼ2カ月ぶりに図書館が開いた。再開初日の10月1日、混雑が予想される午前中を避けて、午後3時過ぎに総合図書館へ出かけた。

同図書館はいわき駅前再開発ビル「ラトブ」の4・5階に入居している。1階の一部と地下2階が駐車場だ。

台風16号の影響で雨が降り、風が強まっていたが、暴風雨というほどではない。地下1階は路面が濡れて、ハンドルを切るたびにタイヤが悲鳴をあげた。外が雨だといつもそうなる。そのまま2階へ下りたら、路面はほぼ乾いていた。駐車スペースも空いていた。混雑は午前中だけだったか。

図書館は、思ったより人が少なかった。臨時休館前に借りていた本を返し、チェックしておいた本を借りる。ロブ・ダン/今西康子訳『家は生態系――あなたは20万種の生き物と暮らしている』(白揚社)と、星野智幸『焔』(新潮社)、小松左京『復活の日』(早川書房)=写真。

『焔』には「クエルボ」という短編が入っている。前にブログで星野の『植物忌』という小説を紹介した。人間が植物になったり、刺青の代わりに植物を生やしたりする変身の物語だ。

「ぼくは青虫。もとは人間だった」という文章で始まる「ディア・プルーデンス」がおもしろかった。

カラスが「アーアーとか、カァとかしか鳴いてないように聞こえるけど、必死で想像してると、意味がだんだんわかってくるんだよ。そのうち想像しなくても言葉として聞こえるようになる」。

生ごみ問題から「カラス語」を知りたいと思っていた人間には、青虫の必死さが足りなかった。そんなことも書き添えた、

すると後日、ブログに匿名さんからコメントが入った。「クエルボ」は男の主人公が妻と住むアパートによく来るカラスと懇意になっていくうちに、自分までカラスになってしまうという物語――と知って興味を持った。

短編なので、すぐ読み終えた。コメントに入っていた通りだが、カラスになって何をしたか。鉄塔によじ登ってウズラの、いや自分の卵を産み落とす。そのへんの展開が想像を超えている。こちらが裏切られた分、作品の寓意性は増す、といったところだろうか。

 図書館に返し忘れた本が1冊あった。金子薫『道化むさぼる揚羽の夢の』(新潮社)。『植物忌』と同じ変身譚だ。「八方ふさがりの時代、いっそのこと、人間やめて蝶になってしまいませんか」。星野が帯に推薦の言葉を寄せている。

それともう1冊。借りたい本の筆頭だった『ザリガニの鳴くところ』(早川書房)は、拙ブログを読んでいる知人から、夏のうちにいわき民報社経由で届いた。過去と現在が交錯する複雑な組み立てだが、自然描写がきめ細やかだ。そんな構成の妙を含めて、この小説についてはいずれ別の日に感想を――。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「クエルボ」の件でコメントした者です。

早速読んでいただき、ありがとうございます。

『焔』の中の「クエルボ」、私が読んだアンソロジーとはまた違った印象を持つかもしれません。

私も図書館のヘビーユーザーなので、再開は嬉しいです。
読みたい本が自由に読めるのがどれだけ幸せかを実感しています。

タカじい さんのコメント...

面白かったです。