2022年3月15日火曜日

「梅前線」がやっと渓谷へ

                      
   真冬はロングタイツ(もも引き)をはき、下着とシャツの間に薄手のタートルネックを着て過ごす。

3月も中旬。こたつに入って“在宅ワーク”をしていると、足首の周りに熱を感じるようになった。首の周りにも熱がこもる。

 土曜日(3月12日)の午後、カミサンが街へ出かけた。帰ってくるなり、いわき駅前の気温表示板が「22度」だったという。

おっ、20度を超えたか! 朝晩はまだ肌寒いが、日中の暖かさに服装を合わせないと――。翌日曜日は朝のうち曇りで、風はなかった。思い切ってロングタイツとタートルネックを脱ぎ、シャツの上に毛糸のチョッキを着た。

それはしかし、あくまでもヒーターや石油ストーブのある屋内用で、外へ行くときにはまだジャンパーが必要だ。

ジャンパーを羽織って夏井川渓谷の隠居へ出かけた。庭に立つと首の周りがひんやりした。やはり渓谷は少し寒い。シャツの一番上のボタンを閉めたら、ひんやり感が消えた。

「梅前線」もようやく渓谷に到着した=写真。渓谷の下流、小川町高崎までは満開だ。渓谷に入ると、家々の庭先にある梅が白い花をまとい始めた。

とまあ、これは渓谷の直近の光景だが、日曜ごとに渓谷に身を置くことができるのは、ほんとうは「奇跡」的なことなのかもしれない、そんな思いもある。

3月11日をはさんで気持ちがざわついていた。ロシアのウクライナ攻撃が拡大している。それも影響していたようだ。

自然災害や原発事故、戦争は人々の日常を破壊する。平凡な日常こそ実は奇跡そのもの、人々が守らなければならない大切なものだ――それを私たちは3・11で学んだ。ウクライナからのニュースと11年前の原発避難体験がどうしても重なる。

日常はしかし、どうってことない出来事でできている。たとえば、ある日の私――。前夜、灯油が切れたので朝食前に買いに行く。土・日と比較的暖かい日が続いた。それで油断した。まさに、油断が油を切らした。それから銀行へ行ってカネを下ろし、ついでに図書館から本を借りてきた。

日常は雑事で組み立てられている。雑事の一コマ、一コマが途切れることなく続いて一日が過ぎる。

なかでも日常に一番影響を与えているのは天気だろう。日曜日に土いじりをするので、日々の天気や季節ごとの気候がいつも気になる。

ちょうど季節の変わり目でもある。三寒四温のなかで、こんなこともだらだらと考えた。白菜漬けをもう1回つくるか、やめて糠漬けに切り替えるか。しかし、糠床はまだ冷たいし、白菜漬けにもすぐ産膜酵母が張るし……。結局、糠漬けを再開するまではほかの漬物で代替することにした。

きのう(3月14日)はいわきの山田町で気温が22.3度まで上がった。いよいよ春である、と書けるような日常がなんとか続いているありがたさをかみしめる。

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