きのう(3月23日)の朝8時過ぎに、ドサッ、ドドンが始まった。なんだろう、この音は、このかすかな揺れは――。
福島県沖を震源とする最大震度6強(いわきは5強と5弱)の地震が3月16日深夜に発生したばかりだ。かすかな揺れでも、つい地震と結びつけて考えてしまう。
が、このドサッは“震源”と“音源”が近すぎる。台所のなにかが落ちたのか。カミサンが確かめると、なにも変わったところはない。
前日は、早朝の雨が湿った雪になったり、みぞれになったりして、夕方まで降り続いた。庭に降った雪はあらかた融けたが、屋根にはかなり積もっている。向かいの家の屋根が真っ白なのでわかる。積雪は7センチくらいだろうか。
地震ではない。人間がなにかをして発している音でもない。そうか! 外に出て2階を見ると、屋根の雪が少しせりだしている。
朝日に照らされた雪が融けて滑り出し、それが、ちょうど瓦1枚分くらいの大きさに割れて、落下を繰り返していた=写真上1。その音だったのだ。
いわきの平地では、雪は南岸低気圧が東進する春先に降ることが多い。といっても、しょっちゅうではない。だから、山間部と違って街の人間は屋根からの落雪を想像しにくい。それでドサッ、ドドンの原因に気づくまで時間がかかった。
それからというものは、太陽に暖められ、屋根を少しずつ滑ってせり出した雪の板が、自分の重みに耐えかねて落下する音が続いた。
東から、南から、西から、ドスン、ドスン。茶の間の空気が揺れる、揺れる。2階の物干し場だけでなく、家の周りが落雪で白く爆発したようになっていた。
暑さ寒さも彼岸まで、とはいうが、この春は彼岸直後に街も山も白い綿をかぶった。それでも、「光の春」と「寒さの冬」が綱引きするなかで、大地は春へと装いを変えつつある。
わが生活圏の夏井川(平・鎌田~中神谷)にはこの冬、ハクチョウが大量に飛来した。それが先の日曜日(3月20日)には50羽ほどに減り、きのうの夕方、街の帰りに見ると、ゼロになっていた。
土手には黄色い花が咲き始めた=写真上2。セイヨウカラシナだろうか。ハクチョウの白から菜の花の黄へ。夏井川の河川敷も春の色に変わりつつある。
「たのしみは 空暖かに うち晴れし 春秋の日に 出(い)でありく時」(橘曙覧)。春の便りが間もなく届く。この雪だってそのあかしのようなものだ。
とはいえ、河川敷は立木が伐採され、堆積土砂が除去された。3月に入るとウグイスがさえずりはじめるのだが、今年(2022年)はまだ聞かない。
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