2022年3月23日水曜日

いつもの春の雪

                      
    前の日の天気予報を聞いていやな感じがした。きのう(3月22日)午前4時半に起きたら雨だった。このまま雨ならいいのだが……。

朝6時半にカミサンが外へ出ると、雨が雪に変わっていた。たちまち車の屋根とフロントガラスが雪で白く覆われた。

灯油がなくなったので、7時にはガソリンスタンドへ買いに行った。雪といっても、みぞれに近い。道路は黒くぬれているだけだ。

よりによってこの日は午後、市役所で会議がある。気象会社の予報を見ると、午後にはみぞれから湿った雪に変わるようだ。道路はぬれても雪は積もらないはず、そう判断して車で出かけた。

会議が始まる。時折、窓の外に目をやる。激しく雪が降っている。が、雪は水分を含んで重そうだ。生垣は白い。しかし、アスファルトの駐車場は黒々としている。

宵の6時には曇りになるという予報だった。5時に会議が終わると、予報より早く雪がやんでいた。駐車場も道路もぬれて黒いままだ。

道路が白くなるようだったら市役所に車を一泊させるしかない。翌日も会議がある。そのときはタクシーで、と開き直って会議に臨んだら、いい具合に雪雲が東へ去った。スリップする心配がなくなった。安心して車で帰宅した。

いわきの平地では、雪は主に南岸低気圧の影響で春に降る。珍しいので、格好の被写体になる。午後の会議は会議として、朝は庭の柿の木の枝に積もった雪を撮った=写真。カエデの幼木にも積もったが、こちらは透明なザラメ状だ。

 雪の白と枝の黒。頭の中では、アンセル・アダムス(1902~84年)風にモノクロに置き換えていた。アダムスは、ヨセミテ渓谷のモノクロ写真で有名なアメリカの風景写真家だ。

彼の雪の木の写真を見てからというもの、夏井川渓谷で、平地のわが家の庭で、雪が降ると、構図をまねして写真を撮るようになった。

 もう6年前になる。春先に「シャプラニール=市民による海外協力の会」の創立メンバーの一人から連絡が入った。古くからの友人である写真家中島秀雄さんの写真展が、平字紺屋町のギャラリー「コールピット」で開かれる、ぜひ足を運んでみて――。

中島さん本人からも写真展の案内状が届いた。中島さんは、アダムスが考案した「ゾーンシステム」という写真哲学を継承し、写真プリントを芸術の領域まで広げたと、知人は絶賛していた。

ゾーンシステム? よくはわからないが、フィルムへの適正露出と現像処理を決める写真技法のひとつだという。

中島さんの作品は、福島県内にある水力発電所を大判カメラで撮影したものだった。モノクロの写真で、ゾーンシステムを生かしているせいか、晴れているのに光と影がほどよく抑えられていた。

さて、春の雪は融けかけてザラメ状になったのが怖い。歩道にそれが残っている。けさは放射冷却現象で冷え込み、ザラメが凍った。庭の水たまりにもうっすらと氷が張っている。ツルンとならないように注意しなければ。

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