いわき市内の夏井川流域は「令和元年東日本台風」で甚大な被害を受けた。2年半がたった今も復旧・防災工事が続く。
平日は平市街へ出かけた帰り、日曜日は渓谷にある隠居へ行く途中、夏井川をウオッチングする。
ふだん見ているのは、国道399号の平大橋(平・鎌田)から国道6号の夏井川橋(平・中神谷)までの間だ。
ここでは河川敷の立木が伐採され、土砂が除去された。夏井川橋から海までの下流でも、同様の工事が行われている。
ただし、一部手つかずのままのところがある。上流の鎌田と下流の中神谷にはさまれた塩地区と対岸の北白土地区だ。
ここは流れが直線的で、左岸・塩の河川敷は狭い。右岸・北白土はやや広い分、耕作地が連続している。
先日、塩の堤防を通ると、河川敷のやぶにピンクのテープがいっぱい付いていた。いよいよ始まるらしい、そう思っていたら、対岸では河川敷の立木が切られ、土砂の除去工事が始まった=写真。
北白土の東端で新川が夏井川に合流する。秋になるとハクチョウが飛来する。この冬は下流の夏井川橋まで、散らばって羽を休めていることが多かった。合計するとかなりの数になる。
土砂除去工事が行われて広い空間ができた。草が生えている。犬などが現れてもすぐわかる。安心して草を食べられる、というのが大挙飛来の理由だったか。
新川合流点のすぐ上流に通称「銀橋」(下水道管橋)がある。その上流右岸に堤防と河川敷をつなぐ道路が取り付けられた。岸辺では重機が2台、土砂を掘り起こしていた。
あとで両岸に立つ看板を見に行った。「河川の土砂を取り除き、護岸を整備します」。「夏井川1工区」と、すぐ上流の「2工区」でも同じ工事が行われていることがわかった。
夏井川を管理する県いわき建設事務所のホームページによれば、どちらの工区も今年(2022年)1月に着工した。看板には「河川災害復旧助成工事(掘削工)」、工期は「令和6年3月29日まで」とあった。
北白土側の耕作地には、確か水害後も人がいたが、今回見たら荒れ地と化していた。私有地ではなかったのだろう。
塩の河川敷では、鎌田との境にあった畑が早い段階で消えた。そのあと、北白土側の畑も消えるのかと思ったら、そのままだった。
河川敷に私有地が入り込んでいる、というより、河川の氾濫と堤防の建設が繰り返されるなかで、堤外(河川敷)に私有地が残ってしまうことはあるらしい。
わが生活圏では震災前にも河川拡幅工事が行われた。岸辺の竹林が伐採され、土砂が除去された。そのとき手つかずのままだった畑は、今回もそのまま残っている。ということは、私有地なのだろう。
水害に伴う復旧・防災工事でいわきの夏井川と支流・好間川、新川の風景は一変した。それがこれからどう変わっていくのか。夏井川を「母なる川」と思い定めている人間としては、その変化を見続けねば――。
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