2022年5月27日金曜日

キュウリは交配しやすい

        
 いわき昔野菜保存会の通常総会が先日、中央台公民館で開かれた。会員は45人ほど。委任状をのぞけば、実際の参加者は10人ちょっとだった。

 去年(2021年)は新型コロナウイルス感染予防のため、資料郵送による書面審議にとどまった。やはり、対面の集まりはいい。総会後、ソーシャルディスタンスを保ちながら懇談した。

 いわき昔野菜とは、自家採種や株分けによって、世代を超えて受け継がれてきたいわきの在来作物のことをいう。

東日本大震災の1年前、市が昔野菜の発掘調査事業を始めた。平成27(2015)年度まで、6年間継続し、併せて実証圃(ほ)での栽培、フェスティバルの開催、冊子の発行などを実施した。

事業に携わった人々を中心に、同保存会が結成された。退職後、家庭菜園を始めたという人や主婦も加わっている。

発掘された昔野菜は73種類に及ぶ。小白井きゅうり・いわき一本太ねぎ・山玉おくいも・おかごぼう・むすめきたか(小豆)などで、保存会としても市民レベルで昔野菜の発掘・保存・普及を目的に、種をつなぐ活動を続けている。

私も夏井川渓谷の隠居で、在来作物の「三春ネギ」(73種類の中には入っていない)を栽培している。渓谷の小集落でつくられているネギに、ふるさと・阿武隈の味の記憶を呼び覚まされた。

住人から種と苗をもらって栽培を始め、自家採種~保存~播種(秋まき)~定植~収穫の2年サイクルを守ってきた。ところが、東日本大震災に伴う原発事故が起きて、敷地の全面除染が行われた。

菜園の土が取り除かれ、いったん更地になった。ほかの作物はともかく、三春ネギの種だけは絶やさない、そう決めて、今も栽培・収穫・採種を続けている。

役員会や総会のあとの懇談会は勉強の場でもある。昔野菜を栽培していると、「あれっ」と思うものができることがある、という人がいた。

そこから「交配」が進みやすい野菜と進みにくい野菜の話になった。キュウリは交配しやすいのだという。

昔野菜の「小白井きゅうり」の苗と別のキュウリの苗を近くで栽培し、小白井きゅうりの種を採ったら……。翌年、小白井きゅうりとは違う形質のものが生まれたらしい。

その話を聴いて思い出した。私も去年(2021年)、地元の住人からもらった小白井きゅうりの苗=写真=と、市販のキュウリの苗を植えた。

どちらのキュウリもすべて収穫して食べた。小白井きゅうりの種を採っていたら、今年は違う形質のものができて、「あれっ」となったかもしれない。

それと、肥料も高騰しているという。ネットで情報を探ったら、カナダに次いでロシアやベラルーシが塩化カリの主要な生産国、とあった。ロシアのウクライナ侵攻後、両国からの供給が停滞しているそうだ。戦争は巡りめぐって庶民の足元をおびやかす。

0 件のコメント: