わが家の庭は狭い。離れ(物置)の跡地と、駐車スペースを除いた半分を草木が占める。
樹木は柿を中心に、カエデやプラム、フヨウ、ジンチョウゲなど。樹下にはミョウガやユキノシタ、ヤマジノホトトギスなどが生える。
5月も中旬。柿たちは若葉を広げ、草たちも芽を出して、地面が緑で覆われるようになった。春から初夏にかけて、スミレやクリスマスローズ、スノーフレーク、エビネなどが開花した。
エビネを取り囲むようにユキノシタの葉が連なり、その外側にミズヒキが葉を広げている。それらをタイヤで踏みつけないように車を止める。
すると、今年(2022年)はミズヒキの外側にシソがびっしり芽を出した=写真。これも踏みつぶすわけにはいかない。車を止める位置を少し後ろにずらした。
シソが発芽した理由はわかっている。去年(2021年)9月下旬の日曜日、帰宅すると、青ジソが2株置いてあった。
持ってきた人間は結局わからなかったが、穂ジソをどうぞ、ということだったのだろう。放置するわけにもいかないので、穂ジソを摘んで塩漬けにした。そのとき、種がこぼれ落ちたのだ。
ネットでつくり方を検索し、メモをとる。それに従って、穂を指でこそげ取る・もみ洗いをする・水を切ってごみと砂を取る・熱湯でさっとゆがく・ザルにあける――ここまでやって、塩のまぶしと瓶詰めをカミサンに頼んだ。
同じころ、山里に住む友人から「米麹(こめこうじ)とシソの実を一緒に漬けるといい」という話を聴いた。
夏井川渓谷の隠居で家庭菜園を始めたばかりのころ、青ジソと、梅干し用に赤ジソの苗を買って植えた。すると毎年、こぼれ種が発芽し、秋には花を咲かせて実をつけた。
こぼれ種から勝手に生えてくることを、いわきの方言で「ふっつぇ」という。もったいないので、毎年、「ふっつぇシソ」の葉を摘み、実が生(な)れば回収して塩漬けにしてきた。
スーパーへ買い物に行ったとき、食品売り場に袋入りの米麹があった。カミサンがさっそく手に入れた。
間もなく「しその実麹」が出てきた。ご飯にのせる。シソの香りと米のうまみ・甘みが絡み合って、なかなかいい感じに仕上がっていた。
さて、芽ジソはどうか。ネットで調べると、好みの食べ方があった。刺し身のつまにする。あるいは、サラダに添える。そうめんの薬味にする。納豆にまぜる。
青ジソは「あおめ(青芽)」、赤ジソは「むらめ(赤芽)」という言い方もあるようだ。「あおめ」は本葉が見え始めたとき、「むらめ」は双葉のあとに本葉が出たときが摘みごろらしい。間引きの感覚で双葉、本葉関係なく、やや大きめの新芽を摘んだ。
水でよく洗ってから、ドレッシングサラダに加え、けんちん汁(トン汁)の薬味にした。一瞬、ほのかなシソの香りが口に広がる。それだけで十分だった。
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