「エレンと一緒にいたコレンがいなくなった。動物に襲われたのではないかと思ってあたりを見たが、羽は落ちてなかった」
いわき市小川町の「白鳥おばさん」ことSさんから、きのう(5月13日)朝、電話がかかってきた。
去年(2021年)の春、小川町三島地内の夏井川にコハクチョウが1羽、けがをして残留した。Sさんは、このハクチョウにエレンと名付けてえさをやり続けている。
エレンは今年も北帰行がかなわなかった。それだけではない、新たに幼鳥が1羽、どこからか飛んできて、とどまった。Sさんはこの幼鳥に「コレン」という名前を付けた。
エレンとコレン=写真上。日曜日、夏井川渓谷にある隠居への行き帰りに、三島の国道399号から2羽が付かず離れずいる姿を眺めて楽しんだ。
ところが、5月8日はエレンだけだった=写真下。コレンはどうしたんだろう。首をかしげていたところへ、Sさんから電話がかかってきたのだった。
Sさんとの出会いを含めて、時系列的にエレンとコレンの観察記録を紹介する。エレンの残留に気づいたのは去年の3月27日だった。
その後は、日曜日のたびに車を止めて様子を見た。Sさんとはそこで6月に出会った。8月にも同じところで会った。以来、なにかあると電話がかってくるようになった。
10月に入ると、コハクチョウの飛来を確認した。Sさんからは「8日に飛来した」という電話をもらった。
11月にも電話がかかってきた。エレンが飛べるようになったという。声をかけると、仲間と一緒に飛んで来る。「来春はみんなと北極圏へ戻れるんじゃないかな」
年が明けてハクチョウが北へ帰る春になると――。「エレンだけになってしまった」。4月3日にSさんから連絡がきた。その翌々日、再び電話が入った。「エレンのそばに幼鳥が寄り添っている」
たぶん、いわき以南から北へ帰るコハクチョウが一時、仲間のいる川で羽を休めたのだろう。そう考えて、「そのうち飛んで行くかも。様子を見るほかない」といったが、ずっと残留が続いた。
一時滞在にしては長すぎる。結局、これも残留してSさんが面倒を見るようになるのだろうか。そう思っていたところへ、Sさんからまた電話が入った。幼鳥に「コレン」という名をつけたという。
その後、冒頭のような展開になる。「コレンは、4月5日にやって来て5月6日にいなくなった」とSさん。
この1カ月の間に体力を回復したようだ。とすれば、ハクチョウは本能的に北を目指すのだろう。
きのうの電話でも「やはり、北へ飛んで行ったんだと思いますよ」と伝えた。なにはともあれ、コレンと名付けた幼鳥がエレンと一緒にいたことを記憶にとどめておこう。
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