毎年、ネギ坊主を収穫する=写真。ネギ坊主は小さな花の集合体で、全体が球状になっている。だから「ネギ坊主」(「ネギぼんこ」という人もいる)。小花が咲いて実がなり、熟すると殻が裂けて黒い種が見えるようになる。それが採種のサインだ。
おおよそ6月中旬が種採りの目安になる。今年(2022年)は6月12日の日曜日が小雨で、土いじりができない、ネギ坊主もぬれている、というわけで、隠居へ行くのを休んだ。
翌月曜日は青空が戻った。火曜日は曇天、水曜日も湿りを帯びた曇天で、午前中、東北地方の梅雨入りが発表された。それが背中を押した。
種は日曜日を待たない。たぶん、ばらばらになり始めたネギ坊主がある。みっしり詰まったままのネギ坊主も、青みが残ったままのネギ坊主もある。
ネギ坊主の大きさはさまざまだが、熟したものは殻の色が黒ずんでいる。殻の中は三つに分かれていて、それぞれに種が二つ眠っている。殻が開くと、これがこぼれ落ちる。黒い種が殻からのぞいているうちに収穫しないと――。週半ばに隠居へ出かけてすべてを収穫した。
15日は霧雨もかかって湿っていた。翌16日は朝日がのぞいていたので、庭に台を出し、ネギ坊主の入ったざるを載せて天日に干した。
ときどき、日陰になっている部分を表にしたり、下のネギ坊主を上に持ってきたりして、まんべんなく光が当たるようにしたら、夕方にはあらかた湿気が飛んだ。あとは軒下で下から上へ動かしたり、裏を表にしたりしてじっくり乾燥させればよい。
乾いたら自然に殻からこぼれ落ちる種もある。が、大半は殻に残っている。軒下で手を加えるのは一日に10分ほど。そのときに振ったり、触ったりして種を落とす。
種を採り始めたころは、ごみと種のより分けに苦労した。口でフーフーやるのだが、種まで飛び散ってしまう。小さなごみや砂は何をしても残る。
あるとき、ネギ栽培の「師匠」から簡単な方法を教わった。ボウルに金ザルを重ね、ごみと一緒に種を入れて水を注ぐと、比重の重い砂はボウルの底に沈み、比重の軽いごみや中身のない種は表面に浮く。
それを流して金ザルの水を切れば種だけになる。濡れた種は新聞紙に広げて一晩置くと、すっかり乾いている。
幸いなことに――。梅雨入りをしたとたん、どんよりした天気ながら気温が上がったり、薄日が差したりしている。週間天気予報も月曜日(6月20日)あたりまでは良さそうだ。
その日を目標に、一日10分ほど手を加え続ければ、あらかた殻から種を採りだせるはずだ。あとは“水選”でごみを取り除き、乾燥させたのを小瓶に入れて冷蔵庫に眠らせる。
春に種をまくいわきの平地のネギと違って、田村地方から入ってきた「三春ネギ」は秋まきだ。今年ははたしてどのくらいの種が確保できるか、楽しみでもある。
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