毎週日曜日、夏井川渓谷の隠居で土いじりをする。その行き帰りに、曲がりくねった県道小野四倉線を利用する。渓谷に入ると、1週間前、あるいは半月前とは違うな――いつもの道を通りながら、そんな変化に気づくことがある。
県道は主に落葉樹の間を通る。3月まではまだ、対岸の林床まで見通すことができた。同月下旬から4月上旬にかけてアカヤシオ(岩ツツジ)が咲き出すと、ほかの木の芽も吹き、淡くやわらかい若葉が頭上を覆い始める。
4月の終わりから5月初めの大型連休を境に、県道は緑一色になる。青葉が空を遮る。むろん、木々が途切れて日だまりができているところもある。
5月の早朝、長袖をまくり、窓を開けたまま渓谷に入ると、日だまりでは熱気を、緑のトンネルでは冷気を感じた。
6月は梅雨の時期。例年だと湿って鬱陶しい天気が続くのだが、今年(2022年)はかつてないほどの暑さになった。
車で渓谷を移動している分には、焼きごてのような直射日光を遮ってくれる。道路だけではない。隠居の庭での作業も、できるだけ緑陰でするようにしている。緑陰はそれこそ、天然のエアコンだ。
さて、最近の変化は気温だけではない。あれ、なんか少し見通しがよくなったぞ――そう感じたのは6月の第3日曜日だった。山側の木がかなり伐採・剪定されている。
渓谷はV字が深い。岩盤が至る所で露出している。風化してもろくなっているところも多い。それを防ぐためにワイヤネットが山側に張られている。崩落土砂と岩石を受け止めるロックシェッドもある。
草木は年々生長する。ワイヤネットからはみ出して幹を伸ばし、枝葉を広げる木々がある。なかには道路に向かって緑のかたまりをたれ下げている木もある。それらの木々がなくなって、空間が広がったように感じられる。
斜面の切り株=写真=をチェックした限りでは、磐越東線の高崎桟道橋付近から地獄坂(十石坂)を上り、ロックシェッドを過ぎたあたりまで、ざっと2キロ区間で垂れ下がる枝葉が姿を消した。少なくとも、この区間の山側の崖の木は刈り上げられて、倒木・落枝の危険性が減った。
ただし、いっとき護岸工事が始まったと思ったら、いつの間に中断して、カラーコーンが置かれたままになっているところがある。なぜそうなのか、住民同様、週一の利用者としても解せない。
それともう一つ、対岸の夏井川第三発電所とつり橋でつながっていたあたりでも護岸が壊れた。ここもカラーコーンで囲っているだけだ。
近くで広域農道が県道と接続している。開通はまだだが、これが利用できるようになると、農道を下りて上流へ向かえばすぐこのカラーコーンにぶつかる。開通前に改修しないはずはないだろうと思っているのだが、どうなることか。
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