2022年8月11日木曜日

翅を持った隣人・上


  月遅れ盆と結びついた花の記憶は、ミョウガの子だけではない。夏井川渓谷の隠居の庭にミソハギがある。8月7日の日曜日に行くと、風呂場の前、カリンの木の下に紅紫色の小花をつけていた。盆の花でもある。

 ウィキペディアなどによると、ミソハギは本州以南の、やや湿った場所に自生する。高さは1メートル前後で、地下茎で増えるらしい。

 この花の種をまいたり、苗を植えたりした記憶はない。カミサンもそうだという。隠居の庭は石垣で仕切られて二段になっている。下の庭はヨシが繁殖している。ヨシは水辺の植物。ミソハギも湿地性の植物だが、下の庭では見たことがない。

 風呂場と母家の間に坪庭がある。風呂場からホースを伸ばして、洗い場にしている。日曜日になると、カリンの木のそばの空堀が小流れに変わる。そのときにたっぷり土が湿るのか、そこだけにミソハギが生えている。

 花が咲くと虫もやって来る。日曜日には黒く小さなチョウが現れた=写真。写真を撮って、データをパソコンに取り込み、粗くスケッチをしてなんというチョウなのかを調べる。

 「黒いチョウ/小さい/白い斑紋」で検索すると、まずクロセセリが現れた。似ている。しかし、翅の縁には白班がない。

 検索を続けると、今度はオオシロモンセセリがヒットした。クロセセリよりは近いが、体の下半分は白くない。しかも、生息地は奄美諸島以南に土着している、とある。いくらなんでも南東北まで北上するということはありえない。

 さらにそれらしいチョウを求めて検索を続けると、スケッチにぴったりのチョウが現れた。ダイミョウセセリ、これだ!

 日本では北海道渡島(おしま)半島から長崎県にかけての林地に生息する。雌雄同色で、関ヶ原を境に、西のダイミョウセセリは後ろ翅に白班が入り、東のそれにはこれがないか、白色帯の痕跡が入る場合があるのだとか。

 少なくとも私が撮った写真からは、後ろ翅の白班は見えない。翅の縁の白い線状のものが見えるだけだ。

 いちおう種の特定は素人なりにできたつもりだが、専門家から見ると、「いや、違う」となることもある。ここではダイミョウセセリらしい、ということにとどめおこう。

 同じように、8年前の夏、ミソハギにやって来たハチを調べたことがある。写真を撮り、スケッチをして検索すると、ハラアカヤドリハキリバチという種類だった。漢字で書けば「腹赤・宿り・葉切り・蜂」。頭や胸は黒く、腹は名前の通り赤かった。

  オオハキリバチの巣に侵入して卵を産みつけ、子育てを宿主にまかせてしまう。だから「宿り」。腹の外は赤くても、中は黒い?と、当時のブログに書いてあった。 

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