わが家の庭にも、夏井川渓谷の隠居の庭にもミョウガが生えている。ミョウガは年に2回楽しめる。春、「ミョウガタケ」が芽生えてのびる。初秋、「ミョウガの子」(花穂)が茎の根元に現れ、花を咲かせる。どちらも汁の実や薬味にする。
隠居の庭のミョウガは桐の木の根元にある。昔は桐が空を覆うほどに枝葉を広げていたが、大風で幹が折れてからは後輩に頼んで枝を刈り払い、胴吹き枝も切って朽ちるに任せている。
先日、後輩が上と下の庭の草をきれいに刈り払ってくれた。今年(2022年)5月末に続いて2回目だ。
桐の根元のミョウガは草にまみれていたが、すっかり風通しも、見通しもよくなった。日曜日(8月7日)にミョウガの株元をのぞくと、やや黄色みがかった白い花が咲いている。さっそく蕾ごと摘んで水洗いする。今年初めてのミョウガの子だ=写真。
正確には8月最初の週、地域の直売所にミョウガの子があったので、カミサンが買った。それを食べたのが最初だ。
いよいよ月遅れ盆が近いか――。わが家の庭のミョウガの子は8月中旬が出現の目安になる。で、地場のミョウガの子を見ると、月遅れ盆の行事を思い出す。
区内会では役員が出て16日早朝、精霊送りをする。前日には祭壇づくりなどの準備がある。この10年余りはそちらにエネルギーを取られて、ゆっくりお盆を過ごしたことがない。
それでも、ミョウガの子は別だ。この10年の記録を見ると、庭のミョウガの子は出現が遅れ気味だ。一昨年(2020年)は1カ月以上遅れて、9月末に摘んだ。去年は月遅れ盆から1週間ほどたった8月下旬になって、白っぽい花が咲いているのを見つけた。
今年はどうか。一昨年の暮れ、後輩に頼んで庭木の剪定をした。それから2年目、樹下の下生えがすごい。ミョウガも丈が初めて1メートルを超えた。ヤブカがわんさといる。カミサンはそれで「採りにいかない」という。
月曜日夕方、草をかき分けて中をのぞいた。花が咲いている。3個採ってすぐ戻ったが、すねにはヤブカが何匹もたかっていた。
ミョウガは何といっても独特の香りがいい。香りの正体は「α―ピネン」と呼ばれるもので、物忘れどころか集中力を高める効果があるそうだ。
加熱すると香りは減じるというから、やはり即席漬けが一番だ。カブとキュウリの一夜漬けに、風味用として庭のサンショウの木の芽とミョウガタケをみじんにして加え、だし昆布も入れる。これが最も好きな食べ方だ。
糠漬けもいける。ミョウガの子を縦に切ったらうまくいった。毎晩、タマネギの甘酢漬けを食べている。ミョウガの子も切って入れたら、結果オーライだった。甘酢がしみてやわらかい。香味も失われていない。初秋の晩酌のおかずにふさわしい一品になった。
花だって食べられる。せっかくの「エディブルフラワー」(食用花)だ。食べれば供養になる。
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